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111.頑張り屋さん ページ11

「む、むむむ、無理です…!」



「花子さん、しっかり!!」


 相之助くんの言葉も届かぬほどの状態の花子さん。

 それも無理はない。



「怖すぎます…!!」




 茶屋を出た私たちは

 鬼が帰って行く所と街中で噂されていた

 朧月山(ろうげつやま)の頂上を目指して登っていた。



「頑張れ!谷山少女!!」


「こんな崖登れるわけがありません…!」




 斜面は急で、足場はかなり悪い。

 しかし、このままでは日が暮れて鬼が出てきてしまう…



「花子少女、俺の手を掴むといい!

 こちらに一気に引き上げよう!」



「え〜!?」



 先に崖を登った杏寿郎と相之助くんは

 上から花子さんに向けて手を伸ばしている、



「花子さん、足元が心もとなかったら私の手を踏んで!

 私が下から押し上げるから!」



「で、でも…」




 私の足元も決して状態が良いとは言えないが、

 とにかく今はここを上がらなければ…



「任せて!力には自信がある!

 ほら、遠慮せずに!」



「わ、わ、分かりました…」



 杏寿郎がこちらを見て

 心配そうな顔をしているのが分かった。

 私は大丈夫と言うように彼に笑顔を見せると、

 応えるように微笑んでくれた。



 花子さんが杏寿郎と相之助くんの手を

 掴んだことを確認すると、私は一気に彼女を押し上げた。



「せーのっ!!」


 

 彼女は小柄で軽いので、勢いよく上に引き上げられ、

 杏寿郎に抱きつく形となった。



「よく頑張ったな!谷山少女!」


「わっ!ありがとうございます…!」



 花子さんが無事に登れた様子を見て安堵したからか、

 私は少し後方によろめいてしまった。



「あっ…」



「A!!」



 よろめいて着いた足元の崖が崩れ、

 下へと放り出された身体。




 3人の姿が遠のいていく。



 手を伸ばしても掴むのは青空だけで


 風が指の間を通り過ぎていく。





 ダメだ…!!

 攻撃を繰り出して受身を取らなければ

 このまま下に落下して…





「君は頑張り屋さんだな。」



「えっ…」



 
 気がつけば杏寿郎の腕の中で

 私はあまりの速さに状況を飲み込めずにいたが、

 どうやら彼が駆け降りて私を抱きかかえてくれたようだ。




「俺の首に腕を回して。

 しっかり捕まっていてくれ。」



 杏寿郎はそう言うと

 木の幹を上手く使いながら高く舞い上がった。

 





 

 
 

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!夜空に咲く花のシーンは、私自身お気に入りのシーンなので、そう言っていただけて、とても嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年6月12日 20時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 夜空に咲く花を背にした二人の情景が浮かぶ綺麗な文章にも癒されました。 (2022年6月12日 18時) (レス) @page44 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - ストレートに伝えて下さる煉獄さんに、またまた癒やされました。本日もご馳走さまでございます! (2022年6月12日 18時) (レス) @page43 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん、応援ありがとうございます!ずっと読んでくださっているだなんて感激です♡ 更新の励みになります!ぜひ、最後までお付き合いくださいませ。 (2022年5月5日 0時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 第三弾おめでとうございます^ ^こっそりとずっと読んでます(笑)これからも応援してます! (2022年5月4日 23時) (レス) @page12 id: 8779dd4f89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年4月27日 20時

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