淡紅舞う 3【煉獄杏寿郎】

102.恋煩い ページ2

〈杏寿郎 side〉



「要、ご苦労様！」



「カアア！」



　柔らかな雨が地を潤す梅雨。


　柱になってからしばらく、


　鬼の討伐に担当地区の巡視、鬼の情報集めと、

　
　柱としての仕事をこなす日々に追われていた。






　Aは今日から冨岡と合同任務だと手紙で教えてくれた。

　彼女は以前の任務で十二鬼月を倒し、乙(きのと)まで昇格した。

　


　彼女は実に才能のある剣士だ。








　手のひらを天に向ければ、

　空からこぼれ落ちた雫が一度手のひら全体に広がって

　再び雫となって指先に伝う。




「形を変える水か…美しいな。」



　ここのところAに会えない日々が続いている。


　風邪は引いていないだろうか。


　ご飯はしっかり食べているだろうか。


　任務で怪我を負ってはいないだろうか。




　ふと気づくと君のことばかりを考えてしまう俺は

　まるで病を患っているようだ。







　午後の任務までの間、

　俺は大切な用事があり、繁華街を訪れていた。




「やあ！こんにちは！」



「あら！杏寿郎さんじゃないの！

　今日は買い物？」



「うむ！

　少し尋ねたいことがあるのだが…」



「尋ねたいこと？」



「実は…」

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