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106.濡れた肌 ページ6

「傷…痛い?」



「大丈夫だ!

 そのことは気にしなくて良いのだが…

 なぜだ?」



「ん?何が?」



「なぜ服を着ているんだ?」



 えっと…?どういうこと?



「だって杏寿郎の背中を流すのでしょう?

 私が服を着ていても問題ないよ!」



 杏寿郎は黙ったまま私に背を向けている。



「あの…背中流すよ?」



 彼の逞しい背中を丁寧に洗い始めると、

 不意に振り返った彼に抱きしめられた。



「わっ!!」



 私の胸に顔を埋めた杏寿郎の耳は

 いつの日かの夕日のように真っ赤だ。



 彼はゆっくりと顔を上げると、満面の笑みで私に言った。



「大変だ…!濡れてしまったな!






 脱がなければ風邪を引くぞ?」




 妖しく微笑む彼の罠にまんまとハマってしまった。




「意地悪…」




「脱ぐの…手伝おうか?」



 
 気がついたら彼のペースに巻き込まれて

 いつもドキドキさせられてばかり。



 私だって…



 私だって…




 彼の手を取ると、私は自身の胸に置いた。





「お言葉に甘えて…



 脱がせてください…」




 身体が熱い…恥ずかしい…





 杏寿郎の唇に視線を向けると、
 
 脳裏に彼と花子さんの口づけが浮かんできて

 胸がぎゅっと痛んだ。





 堪えきれず顔を下に向けようとすると、

 彼の手で遮られ、唇に柔らかい感触がした。




「んっ…」




 お風呂場に響く漏れた声と水音。




「杏寿郎…

 私ね、少しだけ…ほんの少しだけだよ?


 あの時、ほんの少しだけ…妬いてしまったの。」




 眉を下げて切なそうな顔をする彼は

 私の額に優しいくちづけを落とした。





「少しだけ…なのか?



 



 俺だったら








 狂ってしまうほどに妬いてしまうかもしれない。」




 杏寿郎はゆっくりと私の服を脱がせ始める。




「狂ってしまうほど…?




 そんなあなたも少し見てみたい気がする。」



 
 隊服が脱がされ、シャツのボタンに手がかけられた。




「ははは!


 勘弁してくれ。


 今回のことは本当にすまない。油断してしまった。」



 肌が露わになると、


 杏寿郎はその綺麗な指先で私の身体をなぞり始めた。




「杏寿郎は悪くないから…


 誰も悪くないから…」




 蕩けるような温かさで塞がれた唇は


 互いに求め、求められて…





 濡れた肌は




 なぜか気持ちを高揚させる。

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!夜空に咲く花のシーンは、私自身お気に入りのシーンなので、そう言っていただけて、とても嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年6月12日 20時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 夜空に咲く花を背にした二人の情景が浮かぶ綺麗な文章にも癒されました。 (2022年6月12日 18時) (レス) @page44 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - ストレートに伝えて下さる煉獄さんに、またまた癒やされました。本日もご馳走さまでございます! (2022年6月12日 18時) (レス) @page43 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん、応援ありがとうございます!ずっと読んでくださっているだなんて感激です♡ 更新の励みになります!ぜひ、最後までお付き合いくださいませ。 (2022年5月5日 0時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 第三弾おめでとうございます^ ^こっそりとずっと読んでます(笑)これからも応援してます! (2022年5月4日 23時) (レス) @page12 id: 8779dd4f89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年4月27日 20時

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