淡紅舞う【煉獄杏寿郎】

7.折れない心 ページ7

「父さん…！」



　そこに現れたのは、父方の祖父だった。

　

　薄暗くなった居間にはひぐらしのなく声が響く。



「野菜のお裾分けを…と思って来てみたら、

　まさか儂の話が出てくるとは。」



　やはり、彼の両親から聞いたことは噂じゃなかった。



「父さん…その話は。」



「ああ、もうしないつもりだった。

　だけどなあ…Aは聞いてしまったのだろう？

　嘘はつけまい。」



「ねえ、おじいちゃん。

　聞かせて欲しい！

　鬼殺隊のこと、呼吸のこと…」




　私の祖父はかつて鬼殺隊で鬼を狩っていた。


　家系的に代々鬼狩りをしていたわけではなく、

　若い頃、鬼に襲われた時に救ってくれた

　鬼殺隊の人に身体能力の高さを買われ、

　入隊を勧められたようだ。



　その人は、当時の炎柱だったとのこと。



　祖父は当時の炎柱の元で呼吸法を学び、

　鬼を狩るようになった。





　その日からだ。


　私は祖父母の家に転がり込んで

　祖父に稽古をつけてもらうようになった。


　鬼殺隊を引退してからしばらく時間は経っているし、

　ここのところ病気を患っていて身体は万全ではないのに

　やはり動きは機敏で、剣技は素晴らしいものだった。


　自分の祖父がこんな人だったなんて…知らなかった。



　呼吸法は私の見たあの炎柱と同じ"炎の呼吸"だ。


　
「炎の呼吸は足腰の強さが大切だ。

　この村を一周してここへ戻ってこい。」


「…はい！」



　修行は決して楽なものではなく、正直辛い日々だった。


　投げ出したくなることもあった。


　それでも心が折れなかったのは、


　大切な人の敵を討つため…

　
　これ以上、大切な人たちを失いたくないという


　強い思いがあったから。


　炎の呼吸は歴史が長く、


　炎柱には"煉獄家"の者がなっているという。


　代々鬼狩りの家系で、実力がすごいとのこと。


　あの男の人も"煉獄家"の方だったのか。

　

　私が祖父から教わったのは

　
　炎の呼吸の3つの型。


　祖父もかつてこの3つで鬼と戦っていた。



　
　そして修行を重ねて半年が過ぎた。

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