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41.絵描きの男 ページ41

「Aさん、

 鬼の目撃情報がありました。」



「相之助くん、ありがとう!詳しく教えてください。」




「鬼は一体。

 湿原地帯に足を踏み入れると、

 足元の草を伸ばし、獲物の身動きを取れなくした後に

 その身体を喰らうようです。」



 異能の鬼…



「分かりました。少し作戦を練る必要がありそうですね。」




 今回の任務で共になった鬼殺隊士は

 階級、(みずのと)の山谷花子さんと

 (かのと)の田所相之助くんの二人だ。



 
 癸の花子さんは、今日が3回目の任務のようで

 まだ緊張している面持ちだ。



 かく言う私も、

 今までは階級が上の人との合同任務が多かったから、

 後輩たちを上手く引っ張っていけるのか…

 少し緊張している。
 



「花子さん、一緒に頑張ろうね!」



 私が彼女の長い前髪を耳にかけて顔を覗き込むと、


 花子さんは顔を赤くして慌て出した。



「は、はいい!!」



「ふふ。」




 任務地に向け足を運んでいると、



 赤い太鼓橋の上、

 
 橋から身を乗り出している男の人が目に飛び込んできた。




「ちょっと待って…!!!」



「あっ!Aさん!!」




 私は無我夢中で走って


 慌ててその男性を背後から引っ張った。



「うわあっ!!

 なんだよ君は!!離してくれよ!!」



「離しません…!!」



「もういいんだよっ…

 こんな世の中生きていたって辛いだけだ…

 頼むからあの世に行かせてくれよ!!

 君には関係ないだろっ!!」




「あの世に行きたいと思ってしまうほど

 辛いことがあったのですね。」




 男の人は私が声をかけると抵抗していた力を弱めて

 私の瞳を見つめた。




「君は…」



 私は橋の上に散らばっていた


 数枚のスケッチブックを拾うと彼に渡した。



「これ、あなたのものですよね?


 とても優しくて温かい絵をお描きになるのですね。」




「え…?」




「この絵なんか特に素敵です!

 子どもが楽しそうに笑い合ってる。

 見ていて幸せになる絵です。」




 男の人は子どもが描かれた絵を

 愛おしそうに指でなぞると涙を落とした。



「これはな、俺の子どもを描いたものなんだ。

 面倒見のいいお姉ちゃんと甘えん坊の弟。

 二番目の子を産んだ時に嫁さんが亡くなっちまってよ…」



「そうでしたか…」




 透明な涙が絵を濡らしていく。
 

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - ハウンさん» ハウンさん、こちらこそお読みいただきありがとうございます!引き込まれると言ってくださり大変光栄です!続編も更新しましたので、引き継ぎお楽しみいただけるよう頑張りますね! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、ありがとうございます!まっすぐな煉獄さんの深い愛情が表現できていれば…と思います。これからもそんな彼を言葉だけではなく、仕草や態度での表現ができるように努めたいところです! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハウン(プロフ) - 素敵な作品を作っていただきありがとうございます!ものすごく感情移入してしまって胸が締め付けられるくらい引き込まれました!続編楽しみにしてます! (2022年2月28日 23時) (レス) id: 065a2165a6 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 今日も煉獄さんが素敵だ。押し付けがましいところは一切なく、ただただ彼女の幸せを願い笑顔を作れる彼は本当に素敵。 (2022年2月28日 21時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 彼はあまり内緒話など出来なさそうですよね(笑) 巧いだなんて言っていただけて…嬉しすぎて今夜は幸せな気持ちで眠れそうです〜!いつもありがとうございます。 (2022年2月26日 21時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年2月5日 21時

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