巡り巡ってまた来世 [成り代わり]

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手足に力が入らない。









毒が回って、頭の中が白んでいく。









まるで睡魔のように瞼が下がってくる。









ああ、もう…君ってやつは。









「一番、くる…しむ毒に、してって
いったで、しょ…？」









痛みのない優しい毒を使うなんてさ…









「A姉さんッ！！」









こんな(・・・)ぼくの手を握ってくれるなんて…









でも、もう君の体温を感じることが出来ないや。









「ご、め..んね…ダメな、姉ちゃんで…」









「私を、一人にしないで…ッ！」









「ひとり…じゃ、ない..よ、」









すでに痺れた腕で髪飾りを取り出し、彼女の手のひらに乗せた。









「…ッ！」









ぼろぼろと零れる涙を最後の力を振り絞って拭う。









そんなに泣いたら、目が溶けちゃうよ。









彼女はぼくを抱きしめた。









「いま、まで…」









妹の腕の中で死ねるなんて、幸せな死に方だなぁ…









そう思いながらそっと目を閉じる。









最後に彼女の泣き叫ぶ声が聞こえた。









．









「ありがとう…『しのぶ』…」







．









目を覚ますと、枕にシミを作るほどに涙を流していた。









全てを思い出して、ぼくはまた泣いた。









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