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「頑張りすぎて、って……」
「炭治郎、凄く強くて「負けちゃう!」って思って、ずっと力を込めてたら声が漏れちゃった、の……」
「じ、じゃあどこも痛くはないんだな?」
「そうだけど……ズルして勝っちゃったみたいで、嫌だな」
気まずそうに手のひらを膝の上に置いて「ごめんね」と謝ってきたA。謝罪の必要はないのに。
「いや、Aは凄く強かった。訓練の成果が出たんだな! それにもう少し続けていたら、どうなっていたか分からなかったと思う!」
きっと、俺たちの見えないところでものすごい努力を重ねてきたのだろう。そう考えると弟妹たちにしてきたみたいに、頭を優しく撫でてやりたくなった。そんな気持ちでいっぱいになっているときにAは口を開く。
「……炭治郎の手、私が思ってたより大きくて──」
ーーずっとドキドキしてたから、もしあのままだったら私が負けてたと思う。
って。
俺は口が開いた。おにぎりが二個ほど入りそうなほどの大きさを開けていた。なんて発言、しかも普段通りの表情で。
「……炭治郎?」
「えっ! あ、いや……その」
火照った顔を左右に振って我に返ろうとする。一瞬思考が止まってしまって焦った。──ドキドキ、なんて、無意識であんな言葉を発せるのはきっと、彼女しかいないんだろう。少なからず異性として意識してくれた発言には歓喜したいところだが、伊之助はともかく善逸にアレを言われてしまっては困る。
ーーA。
ーーなあに?
ーー腕相撲は、俺としかしちゃ駄目だからな。
ーー? うん!
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琴音 - めちゃくちゃ、キュンキュンしました!ありがとうございました🙇 (2022年3月22日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:^^* | 作成日時:2020年1月8日 22時