【鬼滅の刃】炭治郎くんと！ (ページ7)

今日:18 hit、昨日:2 hit、合計:25,397 hit

腕相撲ページ7

.

「……」
「A、どうしたんだ？」

隊服の袖を片方まくり上げ、日に焼けていない腕をまじまじと見つめているAに声を掛ける。振り返って俺の名前を呟いたAは「あのね」と話をきりだした。

「頑張って腕の筋肉つけたつもりだけど……どのくらいの成果が出せたか分からないの」

確かに、街にいるような女の子に比べれば筋肉がついて太くなっている腕だが引き締まっているので前との違いが分からないと思った。そこで一つの案を思いつく。

「蝶屋敷には大岩が無いからな……そうだ、俺と腕相撲勝負をしよう！」
「腕相撲！？そんなの絶対に負けちゃう」
「やってみなきゃ分からないぞ！机がある部屋を探してみよう！」

縁側に座り込んでいたAの手首をとり、邸内に上がる。機能回復訓練のとき、薬湯の勝負で使った机が道場にあったはず。

「さあA！どれくらい強くなれたか俺と勝負だ！」
「えっ、本当にしちゃうの！？」
「ああ！」

道場の中央に置かれた机に向かい合わせになって座る。「利き手は右だな？」と聞くと肯定の返事が返ってきたので、早速右肘を立てた。同じように遠慮がちなAの肘が机上に乗り、俺の手を握りしめた。──小さい。手加減はしないが、折れたりしないだろうか。

「A」
「えっ、えっ、なあに？」
「痛かったりしたら言ってくれ」
「……うんっ」

同時にお互いの腕力が篭って、合図はなしに勝負が始まった。第一に「強い」と思って、もっと力を込めるとそれに応えるようにAの腕にも力が入る。気を抜いていたら負けてしまう。そのくらいギリギリの勝負だった。

「──……っ、ぅ」
「！」

しまった、やりすぎてしまった。小さく呻いた細い声に反応してしまい手の力が緩まると、手の甲と腕が思い切り机に打ち付けられたのが分かった。負けたのだということは瞬時に理解したがそんなことはどうでもよかった。ただひたすらにAの腕の状態を確認したかった。

「す、すまないA！痛いところはあるか！？言ってくれ！」

繋がれた手を離して腕を掴む。腫れてはいないし骨の音が鳴った様子もなかったが、あのとき苦しそうに声を漏らしていたのは事実。まずい、確かにAは強かったけど、俺は男でAは女の子じゃないか。

「た、炭治郎」
「どこか痛いか！？」
「ううん、違う」

「頑張りすぎて……変な声出ちゃっただけなの」

……ん。

……ん？

.