【鬼滅の刃】炭治郎くんと！ (ページ13)

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深い眠りから引き上げられる酷く苦しそうな匂いで飛び起きた。しかも近くから。暗闇を見渡すけど、両隣には伊之助と善逸のいびきが聞こえていた。じゃあAに何かあったのかと思い、襖を勢いよく開けて縁側に目をやると、隣の部屋の入口あたりで蹲っているAを見つけた。

一瞬心臓が止まった。咄嗟に名前を呼んで駆け寄るけれど錯乱しているのか俺の存在に気づいていないような気もする。月光に照らされた青白い顔は冷や汗と涙でぐちゃぐちゃだった。

「俺のことが分かるか？」

微弱に震えている背中を撫でながら慎重に問いかける。しゃくりあげたような声で肯定が返ってきた。おかしいぞ、こんな呼吸の仕方、おかしい。

「(……過呼吸)」

思い当たるのはそれしかなかった。なにか変な夢でも見てしまったのだろうか。

「苦しいけど、意外とすぐに治るから。俺の今から言うことができたら絶対に楽になれるから」

だから安心してくれ。

Aが普段の呼吸に戻るようになんとか落ち着かせていけば荒ぶった呼吸が段々と静まっていき、そのまま浪費した体力を回復させるかのように眠りについた。

俺にしがみつくような体勢で寝息をたてるAの前髪は濡れていて、所々額にくっついている。早く褥に運んでやらなければ風邪を引いてしまうだろうから抱き上げて部屋の襖を開けた。

「……もう、怖くないからな」

腕の上に乗ったAの顔は随分と疲弊していて、しばらくの間苦しんでいたのだろう。

敷布団の上に下ろしてその上に布団を掛ける。

「──こんこん小山の子うさぎは……」

小さい頃、何度も聞かせてもらったからこの唄は自信があるんだ。

小さな頭を撫でながら、脳裏に昔の記憶を流した。

「次はいい夢を見るんだぞ……」

睫毛に乗っかった涙の雫を掬うと、赤い唇の端が何となく上がった気がした。

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