思春期たんじろ恋をする【キメツ学園】

6 男女の差 ページ7

炭治郎side


そう引き上げたはずだったのだ。

思ったより力を入れすぎたみたいだった、力の加減に失敗した俺はそのまま後ろへ。
手を引かれた彼女は立ち上がれたはいいものの俺が手を離せなくてそのまま
俺の倒れた方向へと道ずれにされるように体制を崩してしまう。

あまりにも一瞬の出来事で咄嗟の判断が出来なかった。
俺は持ってきていた資料を落とし、そのまま背中を打つように倒れ込んだ。


ドスッと鈍い音が響く、いてててて…。

何か今日可笑しいな。
俺は天井を見上げる形になりくらっとする。


「炭治郎くん、ごめんっ！……痛くない？」


そこには俺の上に乗っかる花染さんがいた。
馬乗り状態に近いと言われれば近いがこれは………。

彼女はごめんと謝りながらぶっ倒れた俺の顔を覗き込む。
うるりとした目、そして慌てて俺の上半身を揺さぶる。

え、これは現実か？

あり得ない状況に俺は思考が停止。

顔から一気に汗が噴き出すような感覚になる。
きっと俺は今、耳まで真っ赤になってしまっているだろう。

大丈夫か心配する花染さんは気づいているのだろうか。
俺の懐に乳房が乗っかっていることを、それにあまりにも距離感が近い。

これが普通なのか？錯乱レベル。


「本当にごめんね、どうしよう……」

「いや、ダイジョウブです……」


嘘だ、何も大丈夫じゃない。
妹たちと遊ぶときとは違う、何故かもの凄く意識してしまうのだ。
彼女の匂いに俺は酔ってしまいそうだった、近すぎる。
柔い肌が俺の体と触れていると思うと体が強張る、恥ずかしすぎる。
顔は真っ赤で痴態を晒してしまっているようだ。

なんとかして俺は起き上がり、二人床に座り込む形になる。


「花染さんの方こそ怪我しませんでしたか？」

「…うん、炭治郎くんが倒れた私を支えてくれてたから大丈夫」


そう言って優しく笑う。
どうやら俺が倒れる瞬間に床に体をぶつけないように自らクッションになったんだ。
完全に自業自得で俺はやってしまった…とちょっと複雑な気持ちになる。


「それにしても炭治郎くん、意外と筋肉がついてるんだねえ」


すり…と二の腕を触られる。
物珍しそうに俺の体に関心を示していた。

同い年のはずなのに妙にお姉さんのような雰囲気があって俺は呆気に取られる。


「そ、そうかな……特に鍛えたりはしてないんだけどね」

「凄く素敵……」


うっとりとした顔で俺をみる彼女。
ああ、やっぱり善逸の言っていた噂は本当だ。

俺はゆっくりと息を呑んだ。

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