思春期たんじろ恋をする【キメツ学園】

21 距離 ページ22

炭治郎side


「資料がだいぶまとまって来たから月に数回手伝ってくれる程度で大丈夫だ」


葉が色づいて来た頃、煉獄先生に言われた。
職員室はシン…としていて先生は仮眠を取ったり作業をしていたり忙しそうだ。


「そうですか」

「ああ、おかげで助かった」


じゃあもう資料室にむやみに入ることはできないのだろうか。
Aとも話す機会は少なくなってしまうのだろうか。
咄嗟に口が動いた。


「あの、資料の整理が終わってしまっていても資料室に行ってもいいですか？」

「む、やはり勉強熱心なんだな！偉いぞ、竈門少年！！」


ごめんなさい、違うんです。
勉強するために利用もすると思いますがそんな理由で聞いたのではないんです。
必死に罪悪感に耐えながらも「ありがとうございます！」と礼をした。

またもや職員室を出ようとすると冨岡先生に呼び止められる。


「竈門、お前はこの前本当に破廉恥な雑誌を教室で見ていたのか？」


予想してもいなかった発言に俺は凍り付く。
まだ俺にしか聞こえなさそうな音量だったからいいものの…。
俺は唐突なその発言で顔が耳まで赤くなってしまっていた。

冨岡先生には知られたくなかった、きっと宇髄先生が言ったんだ！
急いで宇髄先生に目を向けると先生は綺麗な顔を見せつけるように仮眠をしていた。
冨岡先生は俺が小さい頃も知っているから神妙な顔つきで俺の返答を待っている。


「ち、違うに決まってるじゃないですか！俺は見ていたんじゃないんです、見せられて！！」

「見たことに違いはない」

「俺だって見たくて見たわけじゃないんです！」


ああ、もう…！
俺は恥ずかしさで消えてしまいそうだった。
こういう事情を突っ込まれるのは得意では無い。


「そうか、あとピアスを外せ竈門」

「これでこの話は終わりです、失礼します！」


冨岡先生に深々と頭を下げて急いでその場から逃れた。
あああ、恥ずかしい！
冨岡先生の目が無くなったので廊下を急いで走る。

今はまだ中休みだったのでこの後も授業がある。
教室へと一直線に走る。


「うわっ！」


目の前が真っ白になる。
一体なんだ、視線を落とすと「いてて…」と尻餅をつく女子生徒がいた。
これはまずい、俺が走ったばかりに！


「ごめん、怪我はないか？」


すっと手を差しだす。
そしてあたり一面に散らばったプリント類をまとめる。
本当に申し訳ないことをしてしまった。
今のは完全に俺が悪い。

俺は紙をまとめて彼女に再度謝った。

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