17 過去 ページ18
炭治郎side
何か地雷でも踏んでしまったのだろうか。
彼女は黙ってしまう、でも俺の顔を少し見たのち口を開いた。
「小学校の頃から女の子の友達がいなかった」
唐突に導入されたこの一言で俺は何かを察し真剣に話を聞いた。
話されたのはなんとも妙で切実な悩みだった。
「理由は隣にいると自分が劣って見えるから近寄らないでって…容姿や体型に恵まれててその分男の子にはちやほやされたけど女の子からは嫌がられたの」
「…………!」
「高校に入ってみたら男の子はみんな私のことを食い入るように見ていつしか魔性の女って異名をつけられていて……だったらそれらしく振舞ってしまおうって思って」
彼女は終始俯いていた。
どうやら中学でも高校でも相変わらず女の子の中で群を抜いて一際目を引く存在になってしまったが、折角の容姿や体型を捨てるわけにもいかなかったらしい。Aにとっての一番の理解者は男の子であり男の子といれば落ち着けると話す。
彼女のその男の扱いは環境により植え付けられて育てられたものだと理解した。
そして資料室で一人、パンを食べていたのにも友人がいないからと結びつく。
俺はその話を静かに聞いていた。
外は暑いはずで腕も絡まれて照れてしまっていたのに今は逆に心地いいぐらいに冷えた。
「そうだったのか…」
俺が油断しているとAはするりと俺の腕の筋肉に触れて耳に息をかけた。
「わっ…ん…」
俺は反射的に声が出てしまう。
すると彼女は俺の方を覗き込んで言った。
「男の子が喜んでくれることなら大体分かるの」
哀しそうに笑っていた。
男の子の友達になろうとしてもなかなか難しいから恋に落とすような術しか分からない、
自分のことを意識してもらうにはその路線しか見当たらなかった、
そう言い目を伏せた彼女を横目に俺は抱き寄せたくなってしまうほどに思った。
彼女が話してくれたことを踏まえて今までのことを思い出す。
もしや乳房を触ってもいいって惑わされた時も俺が喜ぶと思って?
ただ面白がっているだけではないのか?
「いろんな男子に俺と同じようなことをしていたのか?」
「………流石に胸を触らせたのは炭治郎が初めてだけどね」
彼女は少しばかり照れる。
初めてみた恥じらいの姿に胸がぎゅっと締め付けられた。
「あ、時間だ…。そろそろ私行かなきゃ、炭治郎また資料室で会おうね」
呆気に取られる俺をよそにAは寂しく笑ってその場を後にした。
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琴音 - めちゃくちゃ、キュンキュンしました!ありがとうございました🙇 (2022年4月5日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ふわむにゃ(プロフ) - chiaki0708さん» 本当に感謝です、指摘いただいてなかったら一生あのままでした…泣 (2021年12月4日 13時) (レス) id: 77e8970457 (このIDを非表示/違反報告)
chiaki0708(プロフ) - 俺の???彼氏???夢主ちゃんおとこ? (2021年12月3日 22時) (レス) @page39 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
ふわむにゃ(プロフ) - りんないさん» コメントありがとうございます…!夢主ちゃんとことん可愛く脚色させて頂きました、私も可愛く生まれたかったです(笑)更新遅めですが頑張らせて頂きます! (2020年6月8日 1時) (レス) id: a6eb1143e2 (このIDを非表示/違反報告)
りんない - 炭治郎がいろいろ困ってるのかわいすぎます…!夢主ちゃんみたいな可愛い子に生まれたかった…更新頑張ってください!! (2020年5月30日 19時) (レス) id: 99e12d5a0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふわむにゃ | 作成日時:2020年5月21日 2時