#93『密会』 ページ8
「上手くいきましたか?」
「うん、ルーシーの戦力をほぼ無効化できた。それでルーシーが言っていたよ。“約束よ、そして有難う”て」
「ルーシーの友達だったの?」
「ただの旧友の立ち位置ですよ。借りを返したかっただけです」
敦には“旧友”にしては存在が大きい気がした。
モンゴメリにネックレスを見せた時の崩れ落ち方は、まるで大切な人を見つけた子供のように見えた。心の拠り所を見つけた、そんな感じの。
「……ルーシーと何があったの?」
「内緒ですよ。ご本人に聞いて見たらどうですか?」
朔は自分の過去の事は言いたがらない。全て、“内緒”で誤魔化してきた。
朔は立ち上がり背伸びして敦の耳元で囁いた。
「人には触れられたく無いもの、中島さんもあるでしょう? “生きる理由”とかね」
朔はフッと微笑むと敦の横を通り過ぎた。
――――――――――――――――
太宰は空を見上げた。
その虚ろな目には風車が映っている。
一方朔は地面に目線を落とした。
足で何かを描くように動かしていた。
その時、足音が耳を掠めた。
朔がゆっくり顔を上げた。
それに気付いた太宰は目線を前に向けた。
「ようこそ、首領」
入ってきたのはポートマフィア首領森鴎外だった。
その後ろには黒蜥蜴が控えていた。
「私が買って上げた外套はまだ使っているかい?」
「勿論、焼きました」
太宰は声の高さを下げた。
「おやおや、君が中也くんと大健闘だったという萩原朔君か」
森はにっこりと朔を見た。
朔は何時もの笑みを浮かべる。
目が笑っていない。
「その通り、僕が萩原朔ですが・・・・・・僕は一方的に中原さんにやられただけですよ」
朔は肩を竦めた。
「君の異能力は相手の意識を操る異能力。
君は異能力を発動させざるおえない状況を態と作り上げ、中也君の意識を操った。中々参謀の素質があるようだ」
「買いかぶりすぎですよ」
朔は目を細めた。
森は恐ろしい程、太宰に似ている。否この場合、太宰が似ているのだろう。
狡猾で、合理的主義。
彼は合理的だから此処に来た。
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飛沫(プロフ) - hurukawaさん» いえいえ、すみません。是非最後まで見てください。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - 見れました!ありがとうございます! (2021年1月15日 18時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの不手際で非公開になっておりましたので、それを解除しました。見れるようになれたと思います。すみませんでした。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - #96がないです (2021年1月15日 17時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年3月16日 15時