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#112『美しかった白鯨』 ページ27

「中の様子は?」


太宰はマイク付きヘッドホンをつけ、敦に状況説明を要求した。


『静かです。誰も居ません、妙です。皆何処に・・・・・・』


ヘッドホンから聞こえる敦くんの声は震えていた。会議の時は自信満々に言ったが、矢張り緊張しているのだろう。


「中島さん、落ち着いて下さい。まず、ハーマン・メルヴィルを探して下さい」


太宰が敦を宥めるより早く朔が敦に言った。

『ハーマン・メ、メルヴィル?』


「はい、白鯨を操る異能力者です。彼なら止められるかもしれない」



敦は朔の言葉に微かな希望を持って、足を踏み出した。


ハーマン・メルヴィルに当たったのは正直言って賭けそして新たな『双黒』のため。

かつての双黒は究極の『反異能力者』である太宰治、『重力使い』の中原中也だ。
裏社会に名を轟かせ、凡百(あらゆる)敵を屠ってきた。
だが、一人が裏社会を去り、消滅した。


だから、新『双黒』を作らなければならない。
その一人が中島敦である。

太宰の論だ。朔はそれを危機感を抱きながら聞いていた。

もう一人は誰か朔は未だ知らない。太宰に幾ら聞いても教えてくれなかった。


ただ太宰曰く、絶対白鯨に乗り込んでくる、らしい。


このヒントのおかげで、ある程度目星は付いたが、正直言って合ってる自信は無い。


もし、この二人が『双黒』になった場合戦力は格段に上がるだろう。そして、朔達にとっては巨大な障害となる。

・・・・・・まあ、仲が悪いが





メルヴィルはもう操作できなくなっているようだ。

自身の白鯨がこのヨコハマを破壊し、多くの人を殺すことになる。

メルヴィルは白鯨と共にすることを決めたようだ。

透明で美しかった白鯨はもう無い。





『 機械の体になる前の白鯨は美しかった。かつて組合がそうであったように』


メルヴィルの言葉が妙に耳に残った。

#113『新たな双黒』→←#111『暴く者、守る者』



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飛沫(プロフ) - hurukawaさん» いえいえ、すみません。是非最後まで見てください。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - 見れました!ありがとうございます! (2021年1月15日 18時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの不手際で非公開になっておりましたので、それを解除しました。見れるようになれたと思います。すみませんでした。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - #96がないです (2021年1月15日 17時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年3月16日 15時

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