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#104『過去の清算』 ページ19

朔は中也と太宰の言い合いを木にもたれかかりながら見ていた。

彼らは裏社会に名を馳せていた『双黒』。部外者が関与するのは良くない。

それに朔にはやらなければならない事がある。


「おい!萩原!」


朔は顔を上げた。
目の前には中也の顔があった。
朔は目を開いた。その時朔の頭に何か被せられる感触があった。



中他の帽子だ。

朔は帽子を抑えながら怪訝そうに中也を見た。


中也の頭には朔の黒いキャスケットがある。



「預かっといてくれ。俺はお前の帽子を預かる」



朔は困惑した表情を浮かべた。中也の行動の趣旨が理解出来ない。



「死ぬなよ」



中也は笑みを引っ込めて朔を正面から見た。

何故、中也が知ってるのか?僕がジサツしようとした事を。

ああ、尾崎紅葉か。


朔は中也の瞳を見た。青空のように透き通った蒼い瞳だ。その目には光がある。生を求める光が。
でもその目に映る朔は酷く醜く見えた。


朔は目を伏せ息を吐いた。


「分かりました」



その言葉に中也は爽やかな笑みを浮かべ太宰の元に歩いて行った。


朔は木の根元にしゃがみこんだ。

慣れてない事が起こりすぎて戸惑っている。
『生きろ』なんて言われた事は今回をいれ、五回しかない。
今まで浴びせられた罵倒の数々が朔の脳内に響いた。


『消えろ』




『お前は人間じゃない』




『神に逆らった逆賊』





『死んじゃ、駄目だよ』




『生きろ、女子』



『死ぬなよ』




『君は生きなければならない』



次に響いたのは朔を救った言葉だ。




朔は立ち上がった。朔は今は生きなければならない。


・・・・・・ケリをつけるために





過去を清算するために

#105『君の事が好きだった』→←#103『優しいポートマフィア幹部』



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飛沫(プロフ) - hurukawaさん» いえいえ、すみません。是非最後まで見てください。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - 見れました!ありがとうございます! (2021年1月15日 18時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの不手際で非公開になっておりましたので、それを解除しました。見れるようになれたと思います。すみませんでした。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - #96がないです (2021年1月15日 17時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年3月16日 15時

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