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#89『永遠の悪夢』 ページ4

「私も技の清濁に拘ってる場合では無い……か」

太宰は罪悪感で泣いている敦を見た。

「……敦くん」

「……」


敦は震えながら泣いていた、精神的ダメージが大き過ぎたのだろう。

「立つんだ」

「駄目だ……僕は駄目だ……僕は居ちゃいけなかったんだ……」

優しすぎる。
其れが故の「罪悪感」が大きすぎる。

「敦君」

太宰は敦の顔を無理矢理上げた。
そして、敦の頬を叩いた。
敦は驚きで固まってる。


「君から過去を取り上げる権利は私にはない。だけど、偶には先輩らしい助言でもしよう」

「自分を憐れむな。自分を憐れめば人生は終わりなき悪夢だよ」


「そうですよ」

朔は呻きながら顔を上げた。その顔は痣だらけで血だらけだった。
太宰と敦は息を飲んだ。


「僕みたいな人生を送ることになりますよ」


『可哀想ですね』

そう言った少年がいた。
その哀しみを朔は持て余してきた。

その日々は悪夢でしかなかった。



「それに……之くらいの傷痛くも痒くもな……」




言葉を言っている途中で朔は倒れた。頭に衝撃がきた。

朔は自分の血で赤く染まった手を見た。

「……中島さん貴方には責任はありません。ここまでの傷を負った原因は僕自身の作戦と太宰さんです」

朔は敦を見た。

「え!?私?」

「貴方でしょう。僕の脇差取り上げたたの」

そう言うと朔の意識が堕ちた。


太宰は朔はを背負い上げた。








「右腕、左脇腹の抉り傷。脳震盪。血液不足」

与謝野は朔を見下ろした。
只でさえ血の気が少ない朔の肌真っ白、唇は紫色だった。

重度の血液不足だ。

「怪我してるねェ、朔」

与謝野は朔に話しかけるも、応答は無い。
既に虫の息だ。

「アンタにはあんまり怪我して欲しくないンだけどねェ」


『君死給勿』

―――――――――――

朔は重い瞼を上げた。

異能力の代償である失明はすでに治り目に光が飛び込んで来た。

あまりの眩しさに目を細めた。

朔は抉られた自身の右腕を見た。


流石与謝野女医の治癒能力だ。
傷跡一つ残ってない。

探偵社の医務室は誰も居ないみたいに静かだ。朔はただ天井を見た。

きっと太宰は政府組織『異能特務課』を引き摺り込むだろう。


部外者である僕がヨコハマを守ろうとしてもいいのだろうか?
最も血が罪に塗れている僕が……他人を守ろうとするなんて滑稽でしかない。

朔は泣き笑いを浮かべた。

#90『監獄入れられた先輩』→←#88『限界』



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飛沫(プロフ) - hurukawaさん» いえいえ、すみません。是非最後まで見てください。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - 見れました!ありがとうございます! (2021年1月15日 18時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの不手際で非公開になっておりましたので、それを解除しました。見れるようになれたと思います。すみませんでした。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - #96がないです (2021年1月15日 17時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年3月16日 15時

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