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「調査員と仰られていたので。あくまで予想ですが、異能力者は調査員、異能力を持っていない人は事務員という扱いだと思ったからです」
「続けて」
「事務員と思わしき方々は皆さん制服を着用されていられます。でも一方調査員の方々、与謝野女医や国木田さんのように私服です。
なので、与謝野女医は異能力者なのではないかと思いました。そして、怪我をした時に来てと仰られていたので……」
「治癒系の異能力だと思っただねえ。おい、国木田この子賢いねえ 頭脳派が増えた」
俺は立ち止まってしまった。萩原は恐ろしいほど聡明だった。
少しの情報のみで答えを出した。たしかに間諜に適している。
そうだ、国木田。この子にアレ任せるのはどうだい?」
与謝野女医が国木田の方を向いた。
あの件―――――それは謎の少年と少女の事であろう。
「多分もうそろそろ目が覚めると思うんだよ」
「何方の話ですか?」
萩原は不思議そうな顔で見渡す。
・・・・・・同い年ぐらいだからやりやすいかもしれん。
俺は手帳を取りだした。そして、昨日の頁を開いた。
「先日、二人の兄妹武装探偵社に迷い込んできた。その解明だ」
俺は、兄妹の眠る医務室に萩原を連れきた。
萩原はカーテンを開け少年の顔を覗き込んだ。怪我は全て与謝野女医によって治されているため体は元通りであった。
だが、意識はまだ回復せず兄妹揃って寝ている。
萩原はベッドの隣にある椅子に腰掛けた。
脇差が入った鞘が音を立てる。その音によってなのかはたまた偶然か、少年の瞼がゆっくり上がっていった。
赤く、虚ろな瞳が天井を見上げていた。未だ正気に戻っていないのかこちらに気づいていない。
萩原は事務的な口調で言葉を発した。それでも顔に張り付いた笑みは変わらない。
「ここは武装探偵社ですが、貴方は何者ですか?」
少年は飛び起きた。そして、ベッドの隣に座る萩原を見つめた。気が動転したのか少年の頬に汗が伝っている。
「亜沙子は!?」
少年は大声で朔に問いかける。萩原は驚きの表情を全くみせず答えた。
「妹さんですね、隣で眠っていますよ」
良かった、と言った少年はベッドに倒れこんだ。余程妹の事が大事なのか。
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飛沫(プロフ) - 雪月さん» こちらの方にもコメントありがとうございます!期末を片付け次第更新を再開するつもりです。よろしくお願いします!! (2020年7月13日 22時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
雪月(プロフ) - 本編の方も読ませていただいてます!面白いです(*´ω`*)入社試験の更新も待ってます!頑張ってください! (2020年7月12日 23時) (レス) id: f9f48108ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年3月9日 12時