風が二十七立ち ページ28
朝食を食べようとしたところで、隣に誰かが座った
「お隣、失礼しますね」
「遠慮なんでしなくていいよ、蜻蛉切」
がたいのいい見た目に似合わず、ふわっと彼は遠慮気味に笑った
普段どこで彼が食事をしているのかは知らないが、話すのは久しぶりな気がした
`でもなんの話もなしに隣で食事なんて`と考えた私は彼に話を促す
「そんな大したお話じゃないのですが......」
少しためらいがちに俯いて`ただ`と呟いた
「すみませんが、今朝のこんのすけとのお話をお聞きしてしまって」
「そっか、部屋近かったし仕方ないよ」
「最終的に決められるのは主ですから、思いつめたりせずお聞きください
私は誰が何と言おうとも、主にこの本丸の行く末を見守ってもらいたいと考えております
私たちの背中を押してくださったのは、紛れもなく......主ただ一人ですから」
`こんのすけとの話を聞いてしまった`ことについてだと思ったら、この人は
私はここを逃げ出してしまったというのに
審神者という役目を一度捨ててしまったというのに
それでもなお、私のことを認めてくれるというの......？
「うっわ、鶴さんどうしたの、臭いよ？」
「なんだ、伽羅坊といい光坊もか......俺、年寄り臭いのか？」
厨房近くに、鶴丸の服を嗅ぐ燭台切の姿が見えた
「う〜ん、加齢臭というよりは魚......の匂い？」
「ああ、魚か。それなら、この戦闘着の袂に魚を二・三匹入れた記憶はあるぞ」
`ほら光坊、うろこだ`そう言って自慢げに、燭台切の手にそれを転がした
それを見てわなないた彼が叫ぶのに、そんなに時間はかからなかった
すぐ歌仙が走り寄って、魚臭いおじいちゃんを回収していく
......鶴丸洗濯ぐらいしたらどうよ
っていうかお風呂にも入ってないのでは、と嫌な気配がした
「そんな風に言ってくれてありがとう
期待はしないでほしいけど、よく考えてみるよ」
私と同じく、騒動を眺めていた彼に声をかける
振り返って、少し寂しそうに笑う
私がそうさせたと思うと、チクリと胸が痛んた
「では、私は朗報が聞けるのを願っておきます」
`鶴丸ありえねー！`という野次に隠れるようにして、その場を後にした
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 209人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アカネ(プロフ) - 三十九立ちの所で多分｢お花｣と書こうとしたと思うのですが、｢お米｣と書いております…！更新頑張って下さい、とても楽しく読んでいます…！ (2018年9月8日 17時) (
レス) id: e853e23932 (このIDを非表示/違反報告)
悠@ - 露草浅葱#絵描き同盟さん» お忙しい中ご返答ありがとうございます。そうですね、キャラヘイトとは異なる点が幾つかあると思います。それは私の非ですね、すみません。ですが、タグ削除等は行ってほしいとは思っています(タイトルの刀剣乱舞は消さなくても大丈夫です。) (2018年7月26日 13時) (レス) id: c35ccfc481 (このIDを非表示/違反報告)
悠@ - こんばんは、突然すみません。この小説はブラック本丸を元にした作品だとお見受けしました。しかし、ブラック本丸というのはキャラヘイトと言う犯罪になりますので、刀剣乱舞原作に関わるタグをすべて削除するか、小説自体を削除してください。 (2018年7月25日 19時) (レス) id: c35ccfc481 (このIDを非表示/違反報告)
槝 - 一気読みしました。主の正論は自分の事を棚にあげてると思いましたが前に進めている姿は良い。沖田組好きなので加州の話は読み応えあり、彼らが変に罵り合う事なくレア刀が出張る事もなく、刀剣が等しく出ていて大変楽しめた。応援してます。 (2018年7月1日 6時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：露草浅葱 | 作成日時：2018年6月30日 14時
