風が二十九吹き ページ31
「頭をあげてよ」
その様子にいたたまれなくなって、声をかけるがそのまま微動だにしない
謝られるのは苦手だ
どう対応したらいいか分からなくなってしまう
「いち兄、なんで......!!」
私たちの前に躍り出た薬研が、彼を揺する
不安そうに揺れる瞳に酷く動転している様子がうかがえた
......やっぱり、信濃を置いてここから去ろう
ここに私がいたらだめだ
手入れはまたの機会にしよう
「じゃあ、信濃は送り届けたかｒ」
「......審神者殿、ご無礼を承知で申し上げる!!弟と伯父の手入れをしてほしいのです
あなたのことはまだ信じれませんが、苦しむ弟たちは見とうないのです
そのかわり、審神者殿が気のすむまで私を使ってくださってかまいませんから」
`どうか、どうか`という彼
そんな彼に必死にしがみついていて、泣く兄弟たち
.......でも
「どうして、その手入れに`あなた`は含まれてないの？」
そう言うと、顔を上げた彼は不思議そうに私を見た
私にも兄弟がいたから、心情は何となく察せる
「あなたも大人しく手入れされなさい
あなただけがボロボロだったら、それこそ兄弟が悲しむからね」
目を見開く彼
そんなに不思議なことを言っただろうか？
.......まあ、兄弟がいない人だったら分かりもしないだろうとは思うけど
「それと`あなたを使う`なんて趣味の悪いことしないし、
見返りなんてそもそも私は求めてない
審神者としての役目を果たしてるだけだから、手入れを受けるのはあなたたちの義務
それにあなた、兄なんでしょ？弟を不安にさせたり、泣かせたりしちゃだめだから。いいね？」
ちゃんと、いいお兄ちゃんやってるんだから
彼には頑張ってほしい
道を間違わないでほしい
後悔しないでほしい
あなたに私の理想を、どうしても重ねてしまう
.......こうなりたかったな、なんて思ったりしちゃったから
「さ、手入れしていこうか」
私の言葉に後ずさりする少年たち
彼らをかばうように柄に手を置く、青年たち
.......この部屋全部手入れをする感覚でいけるかな？
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月夜桜(プロフ) - 失礼致します、「風が二十九吹き」が非公開となっているようです。 (2018年6月30日 9時) (
レス) id: 02630f3ef1 (このIDを非表示/違反報告)
AKASAN(プロフ) - とても面白いです！更新楽しみにしてます、頑張ってください！！ (2018年6月29日 13時) (レス) id: 1168bef346 (このIDを非表示/違反報告)
きの(プロフ) - 面白いですね！これからも頑張ってください！あと、方便ではなく、方言ではないでしょうか？間違っていたらすみません。 (2018年6月25日 0時) (レス) id: e253f59a3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露草浅葱 | 作成日時：2018年5月22日 15時
