風が三吹き ページ4
手入れを終えると
加州は物珍しそうに、手を太陽にかざして見ていた
「手入れなんて、久しぶりだよ
....それにしても、‘生きる`か。俺には関係のない言葉だと思ってたんだけど」
自嘲気味に言って、下手くそに笑った
「確かに....でも、折角人の体なんだから、そういう考えも悪くはないと思う」
「そーかもしれないね」
「....そういえば、安定のこと
まだ間に合うって、主言ってたけど.........ほんと？」
「噓は言わない主義だから」
‘大和守、持っておいで`と催促すると、嬉しそうに部屋の中に戻っていった
彼が戻ってくるまでの間、ぼんやりと空を眺める
起きた頃より、高くに位置する太陽
もうそろそろ、小狐丸が審神者部屋に行って....いない私に驚く頃だろうか
「ぬしさまー!!!!!やはりここにおられましたか!!!!!」
「あ、小狐丸」
縁側の向こうからかけてきたのは、我らが近侍
相当慌てたのだろう
昨日はきちんと着付けをしていたであろう着物が、どこどなく緩んでいた
「ぬしさま、この小狐丸はお役に立てませぬか？」
しゅん、と寂しそうにうつむく
「昨日、お風呂掃除とか頑張ってくれてたでしょ？
だから、ちょっとは休んで欲しいなぁって思って.........」
「!!なんと、ぬしさま!!!!!」
「ちょっとー、朝っぱらから五月蠅いよ」
加州の手中には砕けた刀身があった
その様子に、小狐丸はまた‘なんと!`と叫んだ
感情が豊かなことはいいことだが、もう少し声のボリュームを下げてもいいと思う
その反応の仕方に、何時ぞやの外国の教師の姿を思い出す私は、悪くない
「ひょっとして.........この方が大和守安定さんで？」
「主がこれから直してくれるって」
「加州、ちょっと部屋を借りてもいい？」
「え？うん、いいけど.........」
流石に、外での手入れは憚れる
直している最中に、奇襲でもされたら溜まったもんじゃない
「小狐丸は外での見張りを
加州は私と部屋の中に入ってくれる？」
「わかりました」
「え、でも俺....何もできないよ？」
「居てくれるだけでいいよ。っていうか、きっと加州にしかできないから」
一つ、私の血液
二つ、気持ち
＿＿＿全ては揃った
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月夜桜(プロフ) - 失礼致します、「風が二十九吹き」が非公開となっているようです。 (2018年6月30日 9時) (
レス) id: 02630f3ef1 (このIDを非表示/違反報告)
AKASAN(プロフ) - とても面白いです！更新楽しみにしてます、頑張ってください！！ (2018年6月29日 13時) (レス) id: 1168bef346 (このIDを非表示/違反報告)
きの(プロフ) - 面白いですね！これからも頑張ってください！あと、方便ではなく、方言ではないでしょうか？間違っていたらすみません。 (2018年6月25日 0時) (レス) id: e253f59a3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露草浅葱 | 作成日時：2018年5月22日 15時
