帰る場所護る場所 (ページ36)

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エンカイ×デ×ハッケンページ36

幻影旅団の宴会で飲まれるのはほとんどがビールだ。

恐ろしいほどの量を消費する。

ウ｢にしても、Aが起きてるのは珍しいな。いつもすぐ寝ちまうのによ。｣

『そうね、体力がついたのかしらね。』

ノ｢そりゃそうだろ。あんだけスパルタな修行を黙ってこなしてるんだ、体力がつかない訳ないだろ。ほら、飲め飲め。｣

『ありがとう……またいいお酒盗んできたのね。』

ノブナガが飲んでいるのは、ジャポンで多く生産されている酒。

材料や、製法により値段が大きく変わり、ノブナガが持っているものはかなり高額になる物だった。

ノ｢お前が以前飲んでた酒に比べりゃ、大した事ないだろ。｣

『あら、そんな事ないわ。客様によっては、ビールも飲んだり、もっと質の悪いお酒だったりしたのよ。』

ク｢へぇ、意外だな。何から何まで1級品なのかと思ってた。｣

いつもなら静かに一人で飲むことが多いクロロだったが、Aの話が気になったのか、団員の輪に入った。

『確かに、そうしている人もいたけど…私は色んな人と話がしたかったから花代が払えない人には少し負けたり、貸したりしたの。』

ク｢興味深い話は聞けたの？｣

『ええ、1番楽しい時間を過ごせたのは流星街出身って言った方と話した時ね。私の知らない世界のことを隠さずに、けど面白く話してくれたの。その時に言ってた悪ガキ集団ってみんなの事かしらね。』

フィ｢あー、かもしれねぇな。どうしようもねぇのは、溢れるほどいたが目立ってたのは俺らくらいか？｣

ク｢だろうな。しかし、そうなるとAの年齢が気になるな。いや、女性に年齢を聞くのは失礼にあたるんだろうけど…｣

『あら、気にしないわ。知りたい？』

Aは酔ってきているのか、いつもより可愛らしいアクションをするようになっていた。

Aの年齢を知っているものは、少し笑いながらクロロの表情を伺っている。

ク｢ああ、教えてくれるか。｣

『ええ、正確には分からないけど29になると思う。』

ク｢……聞き間違えでなければ、29歳だと聞こえたんだが。｣

『間違ってはないわ。驚いたかしら。』

Aは照れくさそうに笑った。

クロロは驚いて目を見開いている。

ク｢ずいぶん……若く見えるんだな。いや、マチと同じくらいかと。｣

ウ｢あっはっは、驚きが隠せてないぜ団長。｣

『昔から見た目が歳をとるのが遅いのよ。』

Aは少しだけ舌を出して子供っぽく笑った。