第48夜 ページ49
とりあえず、しょうが焼きと卵焼きをつっこみ、お米も入れたほうがいいのかを考えながらウインナーを炒めていると、彼が後ろから覗いてきた。
「卵焼き余ってる?」
「びっくりした。余ってるよ」
「いぇーい」
驚くほどテンションの低いイェーイを発して、卵焼きを口へ運び込んだ。
「…。可もなく不可もなく」
「食べながら喋らない」
口をモゴモゴしながら喋る彼を注意する。
「いつまで覗いてるの」
卵焼きを食べ終わったのに、まだ料理している様子をみている。
「いや、あんま料理してるとことか見たこと無いから」
もはや、肩に顔を乗っけてきており、動き辛さしかない。
「邪魔!!」
「なんで料理できるんでィ。料理は女中とかがやっててくれたんだろ」
「うちの見世は、年季明けに嫁入りできるように、そういう事仕込んでおいてくれる所だったし、そうじゃなくても、女中の仕事見て、出来る子は出来るよ」
「ふぅん。どっかの姉貴に教えてやりてェなァ」
「誰?」
「志村姉」
「え。凄いおいしそうな料理作りそうなのに。ダメなの?」
「駄目って言うか、ありゃ凶器でさァ。通称ダークマター。近藤さんもアレ食べて記憶失ってるし」
「寧ろ何かに活用できそうだね」
あたしが笑って答えると、彼の声色が変わった。
「実物見たこと無いからそう言えるんでィ。あれは、ヴォルデモートと同じ扱いでさァ」
急に、彼の目の光が消えた瞬間だった。
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作者名:紫 | 作成日時:2018年7月28日 16時