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第34夜 ページ35

「…え?」



家の前で鉢合わせ、お互い何も言わない静寂を破ったのは彼のほうだった。



「え?何でお前いるの?仕事は?働けよ」



きっと普段居ない時間だから、あたしの居ない時間を狙ってきたのだろう。



やけに動揺して、珍しくあたふたしている。と言うか、



「そのままその言葉返すわ。そっちこそ働けや」



隊服を着ているから、確実に勤務中(仮)のはずだ。



いや、でも正直、こんな風に出会わなかったら話せなかった気がする。



これはこれで良かったのかもしれない。




彼はあたしの突っ込みはまるで無視をして、しゃがみこみ、箔雨に何か渡した。



「…何?」



「開けてみ」



久しぶりに見た優しげな表情だった。



あたし以外には色んな表情だなぁ。なんて、またくだらないことを考えてしまう。



「わ!!簪だ!!すっごくキレイ!!」



上部に鈴が3つ付き、そのしたに桃色のリボンが短冊状にいくつも重なったものだ。



「…箔雨に?」



「日付決まったんだろ。新しく買っちまう前にやりまさァ」



立ち上がって、あたしに言ってきた。




「お礼言っておきな」



「ありがとう!!」



別に、物が欲しいとか、箔雨が簪を貰ったことが嬉しくないわけじゃ無いけれど、なんだかモヤっとした。




「あんたらは、自分の幾らでも持ってんだろ。それで代用しなァ」




そう言って、またあの時のように、手をヒラヒラさせ、帰っていった。




急にパタリと来なくなって、突然また来る。




「…ほんと、自分勝手な人!!」

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作者名: | 作成日時:2018年7月28日 16時

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