第28夜 ページ29
買い物と言っても生活用品の買出しなので、割りとすぐに終わり、待ち合わせのファミレスで、近藤さん待ちをしていた。
どうやら、貯めていた仕事が終わるまでは外に出られないそうなのだが、もう少しで終わるから待っていてほしいとの事だ。
もうすっかり暗くなったファミレスで土方さんと適当に時間を潰す。
「そういえば、さっき飾り屋で土方さんも飾り見てましたよね。若草色の」
「え、あぁ」
「誰かあげたい人でも?もしかして、さっき言ってたおしとやかな人って言うのに関係あったりします?」
この辺の勘は昔の仕事柄か、かなり鋭い。
「ばっ!!なんでもねェよ!!」
やだ、この人凄いわかり易い。
顔を真っ赤にして否定してくるが、慌てぶりが隠しきれて居ない。
「へぇー。誰なんです?凄い気になる」
「言わねェよ」
「言わないってことは居るんだ」
意味ありげにニヤリと笑うと明らかにしまった、という顔をした。
「女郎は、言わせたいことを言わせることができるんですよ」
これは霧雨姐さんが、子供がウソを付いた時にいつも言う台詞だった。
バンッ。という机を叩く大きな音と共に、彼はやってきた。
「てめェ、ふざけんじゃねェぞ」
今まで見たことも無いような怒りを携えて。
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紫 | 作成日時:2018年7月28日 16時