序章【完】 ページ6
「…そんなわけでお館様。報告した通り、鬼は倒したのですが間に合わず里に被害が及び…コイツはその里出身の女です。見てくれはガキですが、難しい言葉を使ってしっかりとしたヤツで、自ら弟子入りを志願してきました」
「鬼殺隊に行く行くは入りたい…そういうことかな」
「……と、本人は言っておりましたが」
─────あの人、
あんな真剣な顔もできたんだ。
…と、言うのが正直な感想だ。
てっきり敬語も使えないものだと思っていたけれど、上司────。
"お館様"と呼ばれるその人の前では片膝をついて敬語になって真剣な顔をしている。
つまるところ呪術界隈で言う"おエライさん"の立ち位置なのだろう、この"お館様"は。
しかし、私のことを紹介するのはいいが、敬語に混じって所々汚い言葉使いがあるのは気の所為か？
いいのか、敬語になってまで慕っているその"お館様"とやらに「ガキ」だとか何だとか言って。
というかガキだけどガキじゃないです。
見た目は子ども、頭脳は大人ってヤツです。
前世の記憶を思い出したからそんじょそこらの子どもよりかは言語発達が凄いです。
呂律は回らないけど。
「…そうか。キミは、育てたいと思うのかい」
「……まぁ、自分のチカラが及ばずに里へ鬼を放ってしまったわけですから…責任は」
「気に病むことではないよ。キミは別の所の任務だった。その場所から走ってあの里までたどり着けたんだ、全滅しなかっただけ良しとしよう」
「……心遣いの言葉、感謝します」
お館様、と言われたその人。
物腰が柔らかくて、
安心する雰囲気があって。
自然と肩のチカラが抜ける感じ。
「どうしたいのかは、キミが決めるといい。継子にしたいのならそうすれば良いし、普通に隊員にさせたいのなら、そう育てれば良い。最終選別で合格をすれば、その子は鬼殺隊になれる」
「………、」
「天元。幼い子をこうしてここに連れてきたのは、その子の意を汲んでキミの意志で連れてきた。もう、覚悟は決めているのだろう？」
「────、は。行く行くはお館様のお力添えになれる隊士に育て上げるつもりです」
「うん、楽しみにしているよ」
その言葉に、
軽く頭を下げた師範─────
こと、天元さまはそれを機に立ち上がってこちらに向かってきた。
話は終わりなのだろうか。
堂々と"育て上げる"とお館様とやらに言っていたが、それはつまり─────。
「ついて来い。今日からお前は俺の弟子だ」
「───はい、…はいッ！師範！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 144人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：無胤 | 作成日時：2022年2月10日 12時
