心美しき 5 ー鬼蜘蛛丸ー ページ35
「そんなところです、早く行きましょう」
鬼「・・・」
俺の横を通り過ぎようとするAさんの腕を思わず掴む。
怖いことをするつもりなんてない、嫌がってしまうのも分かってる・・・けど。
鬼「無理・・・しないでください、一人で抱え込むと・・・いつか大変なことになります。」
「優しいんですね、でも大丈夫です」
優しく手を離される。
違う、そういうことを言わせたいんじゃない。
俺はっ
鬼「守ってあげます!」
「・・・?」
鬼「俺が男性が苦手な貴方を、カメ子ちゃんを守る優しい貴方を・・・全部ひっくるめて守りたい・・・ダメですか」
初めて俺に弱い部分を見せてくれたから。
全てを受け入れるから・・・守ってあげたいっ
「別に守られるほど弱くないですよ」
鬼「そ、そうですけど・・・」
「お心遣いありがとうございます」
去っていくAを引き止められず、一人立ち尽くしてしまう
俺は・・・あんなに弱い人を守れない・・・のか?
男として・・・ちゃんと支えられもしないなんて。
鬼「男失格だ・・・」
それからあの人と会話をする機会がめっきりと減り、気持ちが落ち込んでいった。
いや・・・まあこれでいいんだろうな、あの人に支えはいらない。
支えがいるほど弱くない。
「おいっ離せ!」
『有り金全部置いていきな』
街に出向いていた時に、建物の影で言い合いをしてるのに目がいく
Aさん・・・っ!?なんで・・・じゃなくてっ!
鬼「でやっ!」
『ぐあっ!?』
鬼「こっちです!」
走って兵庫水軍の海の近くまで行く。
一体なんであんなことに・・・Aさんなら殴り飛ばすなりなんなりできたはずなのに・・・。
振り返ればボロボロと涙をこぼしていた
鬼「大丈夫ですか!?どこか痛いですか!?」
「大丈夫です・・・いえ、その・・・」
鬼「・・・怖かったんですか?」
「・・・はい、鬼蜘蛛丸殿が近くにいてくれて良かったです。カメ子様からのお使いで寄っただけなので・・・では」
鬼「待ってください、送っていきます」
「大丈夫です」
鬼「でもっ」
「このくらいもう・・・慣れてますから、ありがとうございます」
とぼとぼと進んでいく彼女を止められなかった。
慣れているから・・・そんな理由で引き止められない俺は情けない。
情けないっ
最後のありがとうの笑顔が何故だか頭から離れなかった。
その日からずっと、Aさんの事が頭にこべり着いたままだ。
無自覚な片想い 1 ー次屋三之助ー リクエスト作品→←心美しき 4 ー鬼蜘蛛丸ー
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ユリリン(プロフ) - メリークリスマス。こんにちは。守一郎の話凄く爽やかで彼らしさが伝わってきで面白かったです。勘右衛門の話も読みました。どちらも最高です。素敵な作品2つも読むことができて嬉しいです。ありがとうございました。 (2022年12月24日 11時) (レス) @page47 id: 6ebc36a5f7 (このIDを非表示/違反報告)
ユリリン(プロフ) - おはようございます。返信ありがとうございます。お待ちしています。 (2022年12月18日 7時) (レス) id: 6ebc36a5f7 (このIDを非表示/違反報告)
ルンバ(プロフ) - アズさん» かしこまりました、リクエストありがとうございます!かかせていただきます! (2022年12月18日 1時) (レス) id: 82b205a2b3 (このIDを非表示/違反報告)
ルンバ(プロフ) - ユリリンさん» かしこまりました、リクエストありがとうございます! (2022年12月18日 1時) (レス) id: 82b205a2b3 (このIDを非表示/違反報告)
アズ(プロフ) - こんにちは。リクエストいいですか?夢主ちゃんが尾浜勘右衛門に一目惚れし甘味が好きだと知り評判のお饅頭を買って勘右衛門にアタックする話。勘右衛門も夢主ちゃんに誘われて嬉しくて喜んでいたでお願いします (2022年12月16日 21時) (レス) id: 7fd9378bbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルンバ故障中 | 作成日時:2022年11月14日 3時