【名探偵コナン】私食べられないんです【降谷零/安室透】

13 ページ13

安室side








貴『…実は…私食べられないんです』

食べられない？
どういう事だ？

しかし…それなら説明がつく。
嫌に軽すぎるのも、栄養失調なのも。

…逃げ出したのも。

何も知らずに俺は…彼女に…

貴『さっきは！私が…言わなかったせいなんです…。…引かれるのが…こ、怖くて…』

引くわけがない。
ただ心配になる。

《ずっと両親に暴力…とか受けてて…20歳の時に逃げたの…それで…5年間…一人で…人が怖くて…働かなくて…お金も…家も…戸籍も…学も…全部……なくて………》

前にコナン君から聞いた。
俺は彼女を守りたいと強く思った。

貴『前に…20歳の時に逃げたって言った…けどそうじゃなくて、…いや、…そうなんだけ…ど…』

安「…ゆっくりでいいですよ」

貴『…私、殺されかけたんです…。両親に…、毒殺。アハ…、それで食べるのが怖くなっちゃって…、大丈夫だって分かっては…いるんですけど…吐いちゃうし…』

安「…今までどうやって生きて来たんですか？」

貴『乾パンと…サプリと…ゼリーと水…』

安「！？」

それは…。

気付けばAさんを抱きしめていた。

貴『え…あ…安室さん？？』

安「Aさんはどうしたいですか？」

どうしたい、

俺は彼女にどうして欲しいんだろう。

今は、ただ、笑って欲しい。
彼女が幸せになって欲しい。

願わくば俺の隣で…

貴『わ…私は！今は…考えるだけで…気持ち悪いし、食べ物、まして…人が作ったものを食べれるイメージは湧かないけど…いつか…』

俺の目をしっかりと見つめる。

貴『いつか…安室さんの手料理…食べてみたい…かも…で…す……』

思わず抱きしめる腕に力が入る。

安「その時は、貴方をお腹いっぱいにして差し上げますね」

貴『！！…うぅ…はい…！期待してます！！』

そんな顔やめてくれ。
手放したくなくなる。

安「僕が貴方を守りますから…」

貴方を傷つける全てから…

14→←12

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す