162:新ジャガいびり ページ20
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ケイト「ご、ごめんね〜、ユウちゃんったら、この世界初心者だから、初めて見るちょ〜綺麗なヴィルくんに目を奪われちゃったみたい!ね!?」
『は、はい!!ぅれる・しぇーはいんと様!!今日も大変お美しいですっっ!!』
勢いよく立ち上がり、ヴィルに振り向いてピンと背筋を伸ばしたユウ。
急に話を振られパニックになったユウから飛び出てきた、原型もクソもない呼び名にハーツラビュル寮生の4人は、ビタンと机に頭を打ち付ける。
先程までの反復練習はなんだったのか。
『す、すすすすみませっ』
ヴィル「アナタ、あれだけ言われてまだ直してないなんて、アタシのこと嫌いなの?」
『ヴィル・シェーンハイト様!!』
ヴィル「好きか嫌いかを聞いてるのよ」
緊張による体温の上昇のためか、ヴィルの美しさによるためか、顔を赤くして汗をかくユウ。
これ以上余計な事は言うな、とエースがユウの頭を鷲掴みにしお辞儀をさせ、挨拶だけ済ませ急いで談話室から逃げ帰った。
ルーク「表情を一目見ればわかるのに…わざわざ聞くなんて、君も意地が悪いね。」
ヴィル「ふん、あのジャガイモがこのアタシの名前を覚えないのが悪いのよ。」
鏡舎から抜け出し、ケイトが次の目的地に案内する。
まさか、あの有名マジカメグラマーのヴィル・シェーンハイトと面識があるとは思いもしなかった。
事情を知る寮長仲間のリドルを除くエース達3人は、目的地に向かいながらユウに問いつめる。
するとユウは首を傾げ、『ヴィル先輩の事、知ってるの?』ととぼけた。
エース「はぁ?何言ってんだお前。」
『この前話した時は、知らない人みたいに話してたじゃん。』
ケイトが足を止めて目を見開く。
ユウの頭についた、大きなリボンを指さして、大きな声で「ビルさん!!」とユウの勘違いしていた名前を呼んだ。
エース「お前…ッ……お前はぁぁぁ!!!」
『何で!?』
頬を思い切り抓られた。
驚いて後ずさると、デュースがエースの手を離してくれる。
ケイトがあのヴィル・シェーンハイトに貰ったというリボンを眺めて、「適わないわ…」と呟いた。
放課後の閑散とした校舎の中庭。
ケイトが案内してくれた先でターゲット候補は呑気に雑談をしている。
心底嫌そうな顔をしたリドルとエースが、2人のうちの片方を見つめ華麗にUターンを決めた。
「「次」」
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作者名:鈴木(仮) | 作成日時:2024年3月3日 10時