161：コソコソ話 ページ19
，
エース｢めっちゃキラキラしてるー｣
デュース｢あそこに座っている人だな｣
エース｢ばか文字打てっ｣
同じ部屋にいるためか、あまり大声で話す訳にも行かず最小限の会話であとはグループチャットで話を進める。
この中で携帯を持っていないオンボロ寮の私とグリムは大人しくエースとデュースの画面を見て状況を把握した。
横目に先日寮長会議で初めてお話する機会があった、ヴィル先輩の圧を感じる。
寮の談話室の一角、いや、むしろ対角にいるこの距離で、しかも、こちらに目線など向けてもいないのにこの圧なのは、おそらく彼の美貌によるものだろう。
『(ヴィル･シェーンハイト先輩、ヴィル･シェーンハイト先輩……はぁ、名前間違えてた手前、なんだか気まずいなぁ…)』
申し訳なさ半分、美しさ半分に、ルーク･ハント先輩よりもヴィル先輩に目線が行ってしまい、溜息をひとつ吐けば、言いたい事があると思ったのかエースが端末をこちらに向けた。
エース｢…なに、お前もメッセ送る？｣
『ううん、特に何もない』
エース｢そ｣
“お”
“おれ”
“おれさま”
“どーしたのぐりちゃん”
デュースの携帯を奪い取り、初めてのタイピングに挑戦するグリム。
楽しくなったのか、単語として成立しない文を大量に送り初めたので、チャットは機能しなくなり寮を出る事になった。
ケイト｢お邪魔しました〜｣
｢もう帰るのかい？｣
購買でクッキーを買ってきてくれたらしいご友人から一枚だけ頂き、談話室を後にしようと席を立つ。
すると肩を掴まれ、嗅ぎなれた化粧品の匂いに包まれた。
ヴィル｢あら、ご挨拶も無しに帰るなんて無作法じゃないの？｣
｢｢｢！？｣｣｣
若干怒気を含んだ物言いに全身が震え上がる。
いつの間にか談話室の対角でマナー講座をしていたルーク･ハント先輩も隣に来ていて、気配の無さにまた恐ろしくなる。
何だこの人達。
ルーク｢久しぶりだね、トリックスター。またの名をユウくん。やはり君には赤が似合う。｣
『る、るるる、ルークはん…せ、先輩！！』
ケイト｢や、やっほ〜！ルークくんにヴィルくん！ぐーぜん！！｣
ヴィル｢偶然、ハーツラビュルの寮長とオンボロ寮の監督生まで引き連れてポムフィオーレの談話室でお茶をしていた所悪いんだけど、言いたい事があるならはっきり言ってくれる？視線がうるさいのよ｣
，
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 83人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鈴木(仮) | 作成日時：2024年3月3日 10時
