157：体臭の話じゃない ページ15
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本当に寝てしまった。
あまりに威圧的な態度に、何も言えなくなって30秒。
規則正しい寝息が彼から聞こえてくる。
本当は、私は真相を知っているから、何故他の生徒を貶めるような事をしたのか、と聞きに来たのだが、おそらくそんな事を今こんな状態で聞けば｢人様を疑うなんてとんでもねぇ、殺す｣とか、｢で、証拠は？無きゃ殺す｣とか、｢そんなくだらねぇ事で俺様の眠りを妨げるな、殺す｣とか言われるのだろう。
何度も言うが私は、現実を生きる彼らがオーバーブロットで命を落とすのを見殺しにするなどできなくて、大した記憶も技術も無いのに残っているだけ。
『(それが無ければ、こんなところ来ないで今すぐ帰る方法を見つけたい。)』
まぁ、理由の８割がそれなだけで、あとはグリムが大魔法士になる為だとか、もうちょっとディズニーの世界に浸っていたいだとか、現実逃避したいとかの願望は混じっているが、それはこんな面倒事に首を突っ込まなくても達成できるわけで。
ラギー｢…さーん！！どーこでーすかー！！レオナさーん！！｣
『！』
目の前の獅子がどうすれば今回の事件を今からでもやめてくれるか、現状のどうしようもなさに悲しみながら体育座りをしていじけていると、遠くからラギー先輩の声がする。
すぐに姿が見えて、またギョッとされた。
ラギー｢ユウくん、びっくりした、どうしたの？｣
『あー、えーっと…』
ラギー｢あ、レオナさんいた。俺たちよく植物園で遭遇するッスねぇ｣
時間に余裕があるのか、目の前にあぐらをかいて肘を着く。
声量が大きすぎてレオナ先輩が目を覚まさないか不安すぎるが、付き合いの長いラギー先輩が気にしていないのだ。私に出来ることは無い。
『……あの…私って臭いですか………』
ラギー｢は？｣
『いや…少し、気になって！ほら、自分のにおいって自分じゃわからないじゃないですか！』
ラギー｢気になって、ねぇ？｣
目の前の先輩が怪訝な顔をしてレオナ先輩を見る。
関係ない、と意思表示する意味でレオナ先輩を自分の体で隠せば、ラギー先輩は笑って私を立たせた。
ラギー｢確かに、ちょーーーっと化粧の匂いはするけど、そんなんウチの学園じゃ当たり前っス！考えすぎないで、｣
『そ、そうですか…』
ラギー｢ほら、帰った帰った！俺もレオナさん部活に連れていかないと。｣
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作者名：鈴木(仮) | 作成日時：2024年3月3日 10時
