154：犯人の特定 ページ12
，
『私魔法使えないからマジフトできないよ』
グリム｢司令塔とかやればいいんだゾ！｣
『素人だが…！？』
何度も言うが、私は中学の3年間、生粋の文化部として歌だけをやってきたのだ。
歌に伴いちょこっとだけダンスとかもやったけど、そんなの体力とはかけ離れた代物だし。
つまり、やったことも無いスポーツをぶっつけでやるなんて夢のまた夢、魔法以前に、センスが無い。
オンボロ寮のドアを開けながら、グリムに初めてのマジフトの感想を聞く。
すると無人のはずの談話室から暖かい暖炉の熱気を感じた。
グリム｢ちょー爽快だった！！ぜったい絶対寮対抗のマジフト大会に出たいんだゾ！！｣
『さすがグリム……………え？』
クロウリー｢おかえりなさいユウくん！！お茶の用意ができてますよ！！｣
グリム｢は！？｣
ナチュラルにソファにどっかりと座りお茶を用意している学園長にツッコミを入れないように、平然を装って談話室に入る。
話があるとは言っていたけど、まさかもう寮には入ってるなんて誰が予想しただろうか。
グリムやゴースト達がマジフトで遊んでいたということは、少なくとも寮は無人だったというわけで。
曲がりなりにも女子である私が住んでいる寮に、曲がりなりにも大人である学園長が、不法侵入したと考えるのが妥当な訳で。
『(…鍵を買おう。とても頑丈なやつ……)』
新しいバイトの、最初のお給料の使い道が決まった。
『ありがとうございます。それでお話って？』
とりあえず学園長がとても満足気な、上機嫌でお茶を用意していたので、嫌な顔をするのも悪いと思い笑って目の前のクッションに座る。
ぷかぷかと浮いたティーカップが、私の膝の上に着陸した。
クロウリー｢ちょっとした調査をお願いしたくてですねぇ。｣
彼の説明で段々とゲームの記憶が鮮明になっていく。
学園内の不自然な事故、被害者の不審な共通点、犯人は十中八九サバナクロー寮の人達だ。
しかし学園長は犯人の特定まで至っていないのか、被害者の身辺調査と、怪しい人物のリストアップに協力して欲しいと言っていた。
クロウリー｢報酬はマジフト大会当日の出場権！どうです？悪い話じゃ無いでしょう！｣
グリム｢…っ！！やる！！やるんだゾ！！｣
依頼に消極的だったグリムも、学園長の条件には目を輝かせ快諾した。
，
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 83人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鈴木(仮) | 作成日時：2024年3月3日 10時
