143：世界一の ページ1
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寮長会議は終了し、各寮長席を立ち寮に戻る。
その間、ユウはじっとレオナを見つめ、どのようにしてオーバーブロットを阻止するか考えていた。
『(オーバーブロットした場所が、大会会場なのかサバナクローの寮内なのかもわからない今、ヤマを張って防ぐのも難しい。原因から攻めようか…)』
ヴィル｢随分な熱視線ね、さすが王子サマ｣
レオナ｢寝惚けてんのか？ありゃ威嚇だろ。｣
入学したての1年生、しかも少女であるユウに何故威嚇されているのかと問いただすヴィル。
ヴィルの声にハッとした様子のユウは、焦った様子で席を離れ、彼の近くまで走って行った。
ヴィル｢？｣
『ビルさん！ずっと会えなくて言えてなかったんですけど、メイク道具ありがとうございます。』
ヴィル｢……は？｣
『あれっ？ビルさんですよね？ん？学園長、ビルさんでしたっけ？』
クロウリー｢ん？え？あぁ、ええ！何ですか？｣
ヴィル｢…合ってるわ、合ってるわよ。でも間違っているわ。｣
『え？』
眉間のシワを抑え、不機嫌になってしまったビルさんに、ユウは首を傾げる。
ヴィルは彼女の様子に悪意を感じず、さらに溜息を吐いて、その奥のレオナはヴィルの表情に吹き出した。
『私…何か間違いを……』
ヴィル｢私はヴィル･シェーンハイトよ！｣
ど綺麗な顔で睨まれ、叱られてしまった。
しばらく沈黙が続く。
何故叱られたのかわからないユウは更に首を傾げた。
『え、あの、ビル･シェーンハイトさん…』
ヴィル｢ヴィ！Vよ！Bなんてみっともない発音しないで頂戴、ほら口見て、ヴィ！｣
『ゔぃ…』
なんと、これは申し訳ない事をした。
名前を間違えるなんて、とても失礼だ。
『しかも、貰い物までしてくれたのに、名前を間違えるなんて…！』
ヴィル｢そういえばそうだったわね、この際発音なんてどうでもいいわ、お顔を見せてごらんなさい。｣
顎を人差し指でクイと持ち上げられ、先程の怪訝な顔で隅々までチェックされる。
あんまりに綺麗なご尊顔に見つめられ、やはり硬直し動けなくなってしまった。
ヴィル｢……ふん、及第点。｣
『ご、ごめんなさい…？』
ひとしきり見た後、もうこちらに興味は無いのかスマホを取り出しどなたかに電話をかけた。
日本じゃそう出会えることもない美形。
しばらく頬の熱が冷めなかった。
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作者名：鈴木(仮) | 作成日時：2024年3月3日 10時
