【ワールドトリガー】ふぁっきんないすでぃ(・Д・)

episode４ ページ5

白い場所に立っていた。

床も空も、全てが白だけの際限なき場所に、奈良坂は立っていた。


「ねえ、透！」


その向かいで、彼の幼なじみである少女が笑う。

１７歳の奈良坂とは違い、１３歳の姿のままだ。


「じゅん……！」


奈良坂は頬を緩め、少女へと腕を伸ばした。

少女は、また一度微笑みを奈良坂に投げかける。


「よわむし」


その手が少女に触れそうになった刹那、少女の頭に穴が開いた。

真っ黒な、終わりの無い穴が。


「ひとごろし」


ボツ、ボツ、と、少女の身体に穴が広がっていく。

奈良坂はひるみ、手を引っ込めた。


「わたしは、透のせいでしんだの」


表情を変えないまま、少女はまた言葉を口にする。


「いたいの。くるしいの。お前のせいだよ」


奈良坂は青ざめ、首を横に振った。

すると、周囲の白が、全て、４年前の情景を描き出す。


「しんじゃえ。しんじゃえ。透、しんじゃえ」


泣きながら、首を横に振り続ける奈良坂に少女は言う。

辺りでは、人々が逃げ惑い、そして殺されている。


「じゅん…違う！お前が死んでるはずがない!!」

「げんじつ、みなよ」


穴だらけになり、ほとんど原形をなくした少女は、少しだけ残った口の端をくいっと上げた。

背後に、トリオン兵の巨大な口が現れる。


「しんじゃえ、透」


バクン、と、少女の上半身が飲み込まれた。

そしてその下半身は、血を噴き散らしながら、奈良坂の足元へと転がる。

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