【ワールドトリガー】ふぁっきんないすでぃ(・Д・)

episode１３ ページ14

「沢村さーん、入ってもいい？」


忍田が出て行ってすぐに、医務室に迅が顔を出した。

うっ、と、沢村が不快感を表す。


「何しに来たの、迅くん」

「いやぁ、冷たい言い方ですね」

「朝一番で人にセクハラしておいて、何を言うの」


苛立つ沢村に、迅はあっけらかんと笑う。


「…ボスに言われていましてね。その子の正体を見てこいと」


ふっと真面目な顔になり、眠っているAを垣間見る。


「意外と美人ですね」

「またそんなこと言って」


沢村は咎めはするものの、否定はしなかった。

Aの、無造作に腰まで伸びた髪は黒く、艶やかで。

目は黒目がちで、まつげは長く、渇いた唇は薄く、日本人らしい顔立ちだ。

小柄な胴からは、白く華奢な手足がのぞいている。

体や服の至る所に乾いた血や泥がこびりついていて、お世辞にも衛生的だとは言えないが、

Aは綺麗だ。


「……あぁ。なるほど」

「何が見えたの？」


尋ねる沢村に、迅はまた満面に笑った。


「近界民、ではないと思いますよ」

「そう。他には？」

「ふんふん…うちの隊員と会っているビジョンが見えます」

「……誰なのか分かる？」

「んー、三輪隊あたりでしょーね」


そう言い、一度言葉を切った。


「彼女は…」

「迅さん!!」


突然、医務室の戸が勢いよく開けられた。

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