【ワールドトリガー】ふぁっきんないすでぃ(・Д・)

episode１２ ページ13

医務室に入ると、Aを寝かせたベッドのすぐそばに椅子を出し、沢村が座っていた。


「あ、本部長」


忍田を見上げ、沢村は口を開く。


「どうなっている？」


忍田は、拘束され腕には点滴のチューブを繋げられたまま眠るAを見て、訊いた。

沢村は悲しそうに顔を曇らせる。


「薬で眠らせているので今はそうでもないのですが、先ほどまで錯乱がひどく……」


Aの後ろ髪を横に分け、忍田にその首筋を見せる。

人の指の痕が、Aの首を絞めるように残っていた。


「見てください。体中に、暴力を受けた痕があります。中には拷問でできた傷もありました。
栄養失調も考えると、恐らく、彼女は長期に渡っての虐待を受けてきていると考えられます」

「やはり、近界にさらわれた人間のセンが濃厚か……」


ため息をつき、耳の後ろを掻く。


「血液型など、個人データを取っておいてくれ」

「了解しました。本部長はどちらに行かれるのですか？」

「資料室で、過去１０年間で失踪した１０代女性のデータを見てくる」


そう言い、医務室を出ようと戸を開く。


「しかし…人間なら、どうやって逃げ出してきたんだ？」

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