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『 ⋯ ごめんなさい 』
顔の前で両手を合わせ頭も下げる。
「 ⋯ 四機捜の中くらい好きに呼んでもいいかな 」
『 ⋯ !』
「 隊長 ⋯ 」
「 もう反省してる、これ以上言うこともない 」
「 “ゆづちゃん”ってダメなの?可愛いのに 」
「 お前みたいなこと言う奴が出てくるからだよ 」
2人の会話が胸にぐさぐさと刺さる。
やめよ、私が悪かったからホントに。
伊吹君、その顔のなるほどって文字消そうか。
「 ⋯ A、顔上げて、ほら 」
『 ごめん ⋯ すっかり忘れてた 』
「 いいの、むしろ忘れてくれてよかった、いつもAに気張らせちゃうところだったからね 」
『 ゆづちゃん ⋯ ! 』
あっ、流石にここでハグはだめか。
と、広げようとした手が行き場を失う。
『 った!!! 』
「 邪魔だよ、バカ 」
叩き落とされた両手を擦りながら志摩を睨む。
一未ちゃーん ⋯ 分かりにくいぜ、優しさが。
「 ⋯ 志摩、あまりAのこと虐めないでよ 」
ほら ⋯ 言われてやんの。
ちらりと志摩を見れば、鬼の形相。
こわ、こっっっっわ。
「 じゃあA、名残惜しいけど私はこれで 」
『 あっ、戻る? 』
「 ごめんね、本当はもう少しいたかったんだけど ⋯ 」
『 いやいや、十分!ありがとう、ゆづちゃん 』
⋯ 不安、といえば嘘になる。
けど、私より不安な顔しちゃって ⋯ ゆづちゃんてば。
「 それじゃあ、みんなも、おやすみなさい 」
「 おやすみなさーい 」
「 おやすみなさい 」
後ろからもおやすみなさいの言葉。
⋯ そういえば今日非番か、四人とも。
「 おい、荷解き 」
『 ⋯ はい? 』
「 ここ、移ったばっかなんだよ 」
『 え、そうなの? 』
「 “そうなの”、で ⋯ 余ってるだろ体力 」
挑発的な言い方で、口元だけが弧を描いている。
⋯ 優しいのか、意地悪なのか訳わかんない。
『 もっちろんですよ、任せてちょーだい 』
シャツを折り曲げ、腕をまくる。
志摩の指示通り物を運ぶ単純作業。
「 ⋯ じゃあ伊咲さん志摩とはその時以来? 」
『 だね、だから ⋯ 』 「 五年ぶり 」
「 喋んのはいいけど、手動かせよ 」
『 分かってますー 』
適当に返事をすれば、志摩の睨み顔。
「 やだね、怒っちゃってさ 」
『 心狭いぞ、志ー摩 』
「 ねっ、俺たち仲良くなって嫉妬してんの 」
『「 やだね〜 」』
「 はっ倒すぞ 」
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作者名:たなか | 作成日時:2023年12月9日 18時