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別のモニタから、ジョディの声が聞こえた。
『A！ 退避完了よ。ＦＢＩのメンバーもシュウ以外ちゃんといるわ』
「君のとこの飼い犬、ここから離れるつもりがないみたいなんだけど、ちゃんと躾てるの？」
『あら、ごめんなさいね。好きな人にはついて行っちゃうのよ』
「そりゃ困った犬ね。何を言ってもガンとして動かないんだけど！」
『それはAが……っと、三つ目？ A、大丈夫？』
ドンッと嫌な音で地面が一緒に揺れる。モニタも一緒に揺れ、ひとつが耐え切れずに床へ死体となって割れた。
隣には、赤井秀一が今だに糸川の肩を抱いている。
「大丈夫。もう犬をそちらに向かわせるから」
『あ、ｎ。たは？』
「回線が途切れ始めてる、もう出なくちゃ」
「１０分で抜け出せるか？」
赤井の声に、笑って答える。大丈夫よ。
爆弾を後にして、部屋を出る。
そのまま走りながら、壊れた階段を駆け降り、上から降ってくる石屑を避け、突っ走る。
二人の足が、二階に差し掛かった時だった。
「間に合わない」
糸川の声が緊張に揺れる。赤井もそれを知っていたように、時計など見ないまま天井を見上げた。
はらはら降ってくる土煙に目を細め、舌打ちをする。
次の瞬間、赤井の背中に大きな衝撃が走った。
ぎょっとした。後ろを振り返る暇もなく、体が揺れる。咄嗟に一歩を踏み出した時には、頭がすべてを追い越していった。
がしゃん、と歪な音が頭上を駆け抜ける。ふらついた足が縺れ、後ろに倒れ込む。
見上げた先にあったのは、糸川の綺麗な笑顔だった。
「間に合いませんでしたね」
「な、おい」
「これでさよならです。残念でした」
閉じゆく扉、自分は今どこに？ どういう意味だ、どういうことだ？ 処理が追いつかない。
「あなたのこと、あいしてます。愛がなんだかわかった気がします」
「まて、まってくれ！」
頭上から降ってきたのは、機械音声。
『施錠ヲ開始シマス。緊急保護、完了。施錠ヲ開始シマス』
何をしている。彼女は何を。
「さようなら」
どうして、何を言っている。
「騙されたあなたがいけないんですよ」
笑顔は、全自動で閉じゆく扉に隠された。重圧な施錠音が響いて、何が起こったのか理解できずその場に立ちすくむ。
暗闇に取り残された赤井の手は、自分の目を開けているのか閉じているのかさえわからない。輪郭さえも溶かす闇に、赤井は腕を伸ばす。
「まってくれ」
驚く程、切ない声がでた。
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ぱーぷる姫(プロフ) - すみません、下のコメントで気が付きました。気づくと鳥肌です！また1から読み直します！ (2022年8月25日 0時) (
レス) id: be661beda4 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - 最高でした。言葉選びとかセンスがツボに刺さりまくりました。赤井と糸川で「赤い糸」になるのも気づいた時に鳥肌止まりませんでした。とにかく最高でした。 (2021年5月5日 1時) (レス) id: b3862cde2f (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 続編お願いします(T_T) (2020年8月8日 13時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
vm - とても、すてきな言葉のセンスから見える世界観がとっても、大好きです！なかなか赤井落ちはないので、ありがとうございました！ (2020年5月1日 0時) (レス) id: d0a5fbaba4 (このIDを非表示/違反報告)
syubyi - いい、、すごく良かったです、、、続きを、、後日談的な続きを、、 (2020年4月11日 14時) (レス) id: 4a176e1186 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：◎たなは◎
| 作成日時：2017年4月4日 23時
