【名探偵コナン】２１ｇは重すぎる【赤井秀一】

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手近なホテルになだれ込んだ。



絡み合って、解け合って、溶け合って、シーツの海に沈む。

熱い吐息も飲み込むように、呼吸さえ惜しいほどに。


相手のボタンを外すのも、相手のベルトを外すのも、惜しくて惜しくて仕方がない。


一本の糸が、ふつりと切れた瞬間を覚えている訳もなく。

でも確かに、その糸は赤い糸だった。赤い糸は切れたらさようならなんかじゃない。

切れたら今度、絡まって解けなくなってしまう。それは本人たちにはどうしようもできない。



煮詰めたマグマも、とけた心も、ぐしゃぐしゃになって糸と絡まった。

貪るようなキスをしながら、陶器に触れるようなやさしい手で腰を抱く。


激しさの中で、ぐずぐずに甘やかされて。

行為に対する生理的な涙だけじゃない、感情の涙がぼろぼろとこぼれても、やはり武骨な指が拭ってくれる。

際限なく流れる涙さえも、愛おしいと囁いてくれる。



高校生や中学生の恋愛には絶対できない、粘度と糖度が、そこにはあった。

快楽に溺れてどうしようもなくて、逃げ出すにも腰に回された腕で逃れられない。

暴力的な快楽に、涙を流し、名前を紡いだ。

途中、名前を呼んでくれと囁かれた気がしたから、もういいや。言ってしまえ、と口に出せば、思った以上に甘く痺れてしまった。


しゅ、い、ちさん。


不安に彷徨う手を絡め取られ、ご褒美のキスをもらって。

幸せで死ぬかと思った。本当に、殺されるんじゃないかって。


本当に思ったのだ。あぁ、私、死んでもいいわ。

それくらい、好きなんだと痛感させられた。


すきです、あなたが。

そのやさしい緑と、歩くたび揺れる癖毛。

ショートホープを持つ指先、笑った時に下がる眉尻。


愛おしい。

その全てが、狂おしい。



　
けものに愛情をこめたら、こうなるんだ。

こうやって、人間は愛を知ってけものから這い上がるんだ。




あぁ私、死んでもいいわ。

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