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赤井は、ジョディのすすめで彼女の左隣の席になった。

その後、ぞろぞろと入ってきたFBIのメンバーも各々自分の机を決めて、降谷は必要な人間を連れて喫煙所と休憩室へ案内した。強制的に糸川も一緒だ。


「こちらが喫煙所です。ここ以外は基本的に禁煙ですので。吸うとずぶ濡れになりますよ、スプリンクラーで水浴びしたくなければやめてくださいね」
「夏は悩みものだな」
「ずぶ濡れのまま日本から追い出されたかったらお好きにどうぞ」
「そりゃ困るな。太平洋を泳いで帰るのは骨が折れそうだ」


降谷と他の捜査官がしょうもない会話で話を弾ませている間、ジョディと糸川は別の話で盛り上がっていた。


「えっ、じゃあそれプレゼントってこと? 800ドルよ? 円だと……九万?十万?」
「まあそのくらい」
「そのくらいって……相手は王子様かしら。ガラスの靴より高そうだけど」


今朝見た靴に食いついたジョディに糸川もテンポよく返す会話。それを半歩後ろからくっついて歩く赤井は、会話に耳を澄ましていた。もう喫煙所の場所などどうだっていい。


「残念だけど、王子様もいないし、お姫様って柄じゃないの。よくこのまま庁内を走るから、すぐダメにしちゃってね、先週もヒールを折って何故か降谷に怒られた」
「その靴ってどこの?」
「ペコーリ」
「嘘でしょそれは怒るわ私も怒るもの!」


まくし立てるジョディに、糸川が困ったように笑う。


「ブランドには申し訳ないけど、どうしてもね。壊れるものは壊れるし」
「プレゼントって、誰からなの?」
「秘密。でも意中の人じゃないから安心して」
「それこそ安心できないわよ! A、どういう生活してるの!?」


頭を抱えるジョディに、糸川は首をすくめてみせる。赤井も頭を抱えたくなった。はぐらかされては困る。


「ファッション好きな人がいるの。でもその人、ヒールは履かないっていうから、私の元に来るってわけ」
「なるほどね! いい友達を持ったじゃない!」
「ええ、ほんとうに」


糸川は嘘はついていない。

嘘はついていないが、ジョディの勝手な解釈に糸川は内心ちょっと申し訳なくなる。
友達……ね。


ヒールが床をノックする音が、随分心臓に響いた気がした。


 

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ぱーぷる姫(プロフ) - すみません、下のコメントで気が付きました。気づくと鳥肌です!また1から読み直します! (2022年8月25日 0時) (レス) id: be661beda4 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - 最高でした。言葉選びとかセンスがツボに刺さりまくりました。赤井と糸川で「赤い糸」になるのも気づいた時に鳥肌止まりませんでした。とにかく最高でした。 (2021年5月5日 1時) (レス) id: b3862cde2f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続編お願いします(T_T) (2020年8月8日 13時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
vm - とても、すてきな言葉のセンスから見える世界観がとっても、大好きです!なかなか赤井落ちはないので、ありがとうございました! (2020年5月1日 0時) (レス) id: d0a5fbaba4 (このIDを非表示/違反報告)
syubyi - いい、、すごく良かったです、、、続きを、、後日談的な続きを、、 (2020年4月11日 14時) (レス) id: 4a176e1186 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:◎たなは◎ | 作成日時:2017年4月4日 23時

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