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赤井の行動は早かった。

公安職務の人間では口にできないことを、FBIという立場からなら、ある程度突っ込んで聞ける部分もある。

それを使い込んだ。


靴好きだとかいう男の名前を降谷から受け取ると、赤井はその上層部に接触し、聞くところまで聞いて、ボロを出させた。

酷い言葉をいくつか吐いたし、スラングも飛ばした記憶があるが、その記憶も彼の中では薄い。


『おかしいと思いませんか? ん? あんた、普通に出せる許可も餌にしてるでしょう。こっちは知ってるんです、さっさと吐いたほうが身の為ですよ。あんたが高い費用を毎週捻出していることを、奥方に知られてもいいと』
『小汚いその手で女性を触るとは、随分だな。いい加減にしろ。突き出してやってもいいんだ、わかってんだろう』


暗い室内で、男を責め、言質を取れば、もうこちらのものだった。




 

■□■□■□■□■



 
Aがいつものように、深夜に差し掛かる頃を見計らって上階の一室に足を運ぶと、椅子に座った男は青ざめた表情で言った。


「もう来なくていい」


なんだって? じゃあ許可はどうなるんだ。
いつも名前を書く事を渋る男のために捧げていた時間はなんだったのか。普通に出せる許可のために、窮屈で形だけが美しい偏屈な足枷をつけられていたことが、無意味になるのか。


「……奥方に気づかれましたか」
「いや、違う。だが、もう来なくていい。今後、君に物を贈ることもしない」
「じゃあ許可はどうするつもりですか。書く事を嫌がらなくなるのですか」
「書くさ! …………通常許可として申請できることを、代償なんてつけて取引をしていたことを、謝る。今まで悪かった」
「どういう風の吹き回しです」


考えられることを、考えた。Aは一つ一つ思い浮かぶ顔を並べて、消していく。

降谷はまずない。風見はこのことを知らない。ほかの部下も一部を除いて同様。知るはずがないのだ。

じゃあ誰だ? この期に及んでとなると、外部の人間が絡んでくる。こちら側の仕事にある程度口を出せると言えば、今はFBIしかいない。

ジョディ? だがAの嘘へ向ける目は疑いなど持っていないものだった。キャメルもザックも。
残るは。


「あかい、しゅういち」


瞬間、男の視線がぐらりと揺れた。


「あの人は、これを知っていたのですか」
「……知っていたよ」


彼に教えることのできる、ひとりの人間。降谷零。

Aの体から血の気が引く。

赤井に、バレた。

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ぱーぷる姫(プロフ) - すみません、下のコメントで気が付きました。気づくと鳥肌です!また1から読み直します! (2022年8月25日 0時) (レス) id: be661beda4 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - 最高でした。言葉選びとかセンスがツボに刺さりまくりました。赤井と糸川で「赤い糸」になるのも気づいた時に鳥肌止まりませんでした。とにかく最高でした。 (2021年5月5日 1時) (レス) id: b3862cde2f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続編お願いします(T_T) (2020年8月8日 13時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
vm - とても、すてきな言葉のセンスから見える世界観がとっても、大好きです!なかなか赤井落ちはないので、ありがとうございました! (2020年5月1日 0時) (レス) id: d0a5fbaba4 (このIDを非表示/違反報告)
syubyi - いい、、すごく良かったです、、、続きを、、後日談的な続きを、、 (2020年4月11日 14時) (レス) id: 4a176e1186 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:◎たなは◎ | 作成日時:2017年4月4日 23時

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