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「糸川さんってやっぱり結婚してるのかな」
「でも指輪してなくない?」
「あぁ、してなかった! じゃあ彼氏はいるよね」
「そりゃいるでしょ〜! むしろ降谷管理官とこっそり付き合ってたりしてたらどうする!?」


きゃぁっと二人で黄色い声をあげる姿を、ジョディは口角を上げながら、ザックとどうでもいい話を続けた。正直、今現在何を話しているのか自分でもよくわかっていない。

ザックも同じなのか、先程ジョディが「スリッパは日本製に限る」とかいう話を振ったとき、彼は「俺は鉄製がいい」と、とんでもない返しを寄越したくらいだ。双方の話なんか聞いちゃいない。


「それはずるいって! でもなんか、二人が話してるのみると、そういう感じじゃないじゃない? 恋人ってより、兄妹っていうか。双子の」
「あぁ、漫才のコンビみたいな感じある」
「それそれ。阿吽っていうか。恋人ってそういう雰囲気ないじゃない」


さすがは女性。そういった観察眼は鋭いようだ。


「糸川管理官って、どういう人がタイプなのかな」
「年下に好かれそう」
「それはわかる。でも年下は弟にしか思ってなさそう」
「あぁ〜!」


ジョディも内心「あぁ〜!」と同じ反応をした。わかるわよ、その気持ち! 事実、キャメルも弟のように扱われていた。やさしく、甘く、ときに厳しい。飴と鞭をわかっている扱い方。


「じゃあ年上?」
「それは思ったけど、年上で結婚してない人って少なくない?」
「秋本警視正」
「そ〜れは例外よ! あの人の奥さんなんてエベレスト登るより難関でしょ」



「僕そんなに高見えしてるかなぁ」



弾かれたように女性二人が顔を上げた。ジョディとザック、キャメルもカラトリーを取り落とす寸前で、口をぽかんと開けた、その視線の先にいたのは、初老の男性。



「あっ、秋本警視正っ!!」
「す、すみませんでしたっ、その」


女性職員が慌てふためき、半泣き一歩手前の表情で焦る姿を、男は少し申し訳なさそうに「いやいや」と制した。


「ご一緒してもいいかな?」
「はっ、はい! もちろん」
「大丈夫ですっ」
「ごめんね、椅子空いてなくてさ」
「この時間、混みますもんね」


秋本警視正。降谷と糸川の上司にあたる男は、驚異的な知識と実力を持つ二人をうまくまとめてきた人間だ。

彼自身、恐ろしい観察眼と洞察力、知識を揃えた食えない人間。彼の上につく人間でさえ、彼の睨みである程度は静かになると、ちらほら聞くことさえある。

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ぱーぷる姫(プロフ) - すみません、下のコメントで気が付きました。気づくと鳥肌です!また1から読み直します! (2022年8月25日 0時) (レス) id: be661beda4 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - 最高でした。言葉選びとかセンスがツボに刺さりまくりました。赤井と糸川で「赤い糸」になるのも気づいた時に鳥肌止まりませんでした。とにかく最高でした。 (2021年5月5日 1時) (レス) id: b3862cde2f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続編お願いします(T_T) (2020年8月8日 13時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
vm - とても、すてきな言葉のセンスから見える世界観がとっても、大好きです!なかなか赤井落ちはないので、ありがとうございました! (2020年5月1日 0時) (レス) id: d0a5fbaba4 (このIDを非表示/違反報告)
syubyi - いい、、すごく良かったです、、、続きを、、後日談的な続きを、、 (2020年4月11日 14時) (レス) id: 4a176e1186 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:◎たなは◎ | 作成日時:2017年4月4日 23時

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