こっちとしては不本意だけど、うどん的には本望 ページ2
さて、この椎茸の出汁を、火にかけられた出汁に追加で入れ、椎茸は細切りにする。
同じように太ネギも斜めに薄く切り、牛こま肉は手の真ん中の三本指をくっつけたくらいの幅に切る。
椎茸の瓶を冷蔵庫に戻して、鍋がふつふつと煮立ってきたら椎茸とネギを入れてもうひと煮立ち。牛こま肉も入れて、色が変わるくらいまで弱火で煮たら、うどんを入れる。
「うどん、固め、普通、柔らかめ、くたくた、どれが好きですか」
火元から声だけを伸ばせば、カウンターから元気な鼻声が「ぐだぐだにじでぐれ」と濁音いっぱいでお返事がやってきた。ちょっと可哀想なので、ティッシュボックスをカウンターの上に置いておいた。
うどんを入れた鍋を中火よりも少し手前の弱火でくつくつと煮込みながら、片栗粉と水を1：2で混ぜる。二人分なら片栗粉をカレースプーン2杯と、水を同じスプーンで4杯入れたらいい。ここだけは目分量が得意な円堂でも計量スプーンか、相応の何かしらを使う。比率が違うと、面白くないほどとろみがつかなかったり、弾力がありすぎたりするのだ。
鍋の様子を時折見つつ、洗い物を済ませ、片付け、そしてまた鍋の様子をチラチラ見る。
「ん、いい匂い」
ふふん、と顔が思わずほころんだ。季節の変わり目にはちょうど良い、温かさ。
鍋に水溶き片栗粉をさっと回し入れて、とろみがつくまで混ぜる。とろみがついたら丼に盛り付けて、完成。最後に細ねぎを中央に散らして、その上に卵黄をパクリと割り乗せた。
「はい、お待たせしました。くたくた黄身うどんです」
「んん」
「熱いので、気をつけて」
丼二つをカウンターにおいて、円堂も降谷と椅子を一つ開けた隣に腰掛ける。
「いだだぎまず」
「めしあがれ。いただきます」
ぱちん、と手を合わせてから箸を取る。
まず、麺をひと束掴んでつるりと啜る。出汁が染みたうどん麺と、出汁とネギの尖った香りをとろみがまろやかにしている。するりと入り込む温かさに、降谷は「はふ、」と湯気を逃した。
それから黄身を箸の先でそっと割る。弾力のある黄身は、箸先をギリギリまで拒否していたものの、プツリとその身を割ると、どぅっと丼の上に黄色い花を咲かせた。黄身を絡ませたうどんをずるると啜れば、鼻の奥をほわりと湯気と共に椎茸の優しい香りが包む。
ズ、と降谷は鼻をすすって無心に食べた。
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◎たなは◎(プロフ) - cです。さん» 今回は赤井さんの登場がちらほらと出てきますので是非ごゆるりとお付き合いくださいませ！（降谷さんの心は治安悪化しているようですが笑） (2019年11月29日 18時) (
レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
cです。 - 最高です。お馴染みの飯テロに加え、今回は赤井秀一の登場しかもラナンキュラスいろんな意味で最高です。大好きです。これからも応援しています。 (2019年11月29日 1時) (レス) id: 1509f3e8ae (このIDを非表示/違反報告)
◎たなは◎(プロフ) - ありまさん» 気づいてくださり、ありがとうございます！！ タイトルと本編では大した意味はありませんが、間違いなく前作から読んでいただいても今作からでも「そりゃ喧嘩するよね」となると思います。二人の関係性が曖昧すぎますからね……（誰のせい）（私） (2019年11月27日 22時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
◎たなは◎(プロフ) - 柑橘さん» 私も良い感じにかっこつけられない降谷さん大好きです。とても愛おしい笑 穏やかな更新になりますが、どうぞお付き合いくださいませ！ (2019年11月27日 22時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
ありま(プロフ) - 最初はなんだこのタイトルは？と思いましたが、気づいてしまいました…これはすごい。 (2019年11月26日 17時) (レス) id: 827fe84146 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：◎たなは◎
| 作成日時：2019年11月26日 1時
