遊戯 ページ23
赤井は二つ返事で了解した。笑顔溢れる葉山が受諾の言葉を聞いてうんうんと頷く。
「事は三日後に開始しよう。三日後の23日から25日までの三日間。Aを極力外出させるようにする。勿論私も一緒だけどね。
しかしだ、私は既に君に見つかってしまった。だから、もし私が街中で赤井秀一。君を見つけたら、その場で手を挙げる。手首に赤いバンダナを着けておくから見つけやすいだろう。もし三日間で見つけられなかった場合、私達は他の国へと出国する。また振り出しに戻ることになる訳だよ」
これはゲームだ、と葉山は笑った。そして、その笑顔を少し俯かせた。
「本当に、Aを愛しているんだね」
呟くような言葉を、赤井は両手で掬い上げる。
「愛している。当然だ。そのゲーム、受けて立とう」
葉山は、下げた視線を持ち上げた。赤井を見つめ、頷く。
「ありがとう。この話を持ちかけて本当に良かった。赤井捜査官。貴方は良い人だね。
Aは君の赤子を抱えて逃げた。色々なものから。君をも恐れて。
それは君にとっても君の周りの人間にとっても良いことでは無かった。事実だけを並べれば只の身勝手で傲慢な女に過ぎない。子どもを身籠って、ほぼ誰にも言わないで逃げ、挙げ句の果てにその理由は『怖かったから』。
でも君は、事実だけを見ているのでは無かった。安心した、本当に」
ありがとう。葉山はそう言って赤井と握手をすると、カフェから立ち去った。しっかりと、「ゲームは三日後からだから、今私の後を着けてきちゃダメだよ。ルール違反をしたら負けだからね」と言って。
■
三日後。赤井は鷹守を探すべく、外へ出払っていた。母親のメアリーには、真純に観光に連れて行けと言われたから、という建前で。
「赤いバンダナかあ。見つかると良いね」
「見つけるさ。絶対に」
逃しはしない、と不敵に笑う兄を隣に真純は観光名所を楽しんだ。ホームステイ先は同国内イギリスであるが、母の家に滞在しているわけではない。今回はホストファミリーに兄が来ると話して二週間、田舎にあるホームステイ先の家を離れた。
「秀兄の未来のお嫁さん、ちゃんと見てみたいな」
横顔だけだったんだからな、と真純が言うと赤井は嬉しそうな笑顔をこぼした。
「あぁ、抱きしめたい」
真純は直感した。秀兄は絶対、この笑顔のままあのAって女の人を地の果てまで追いかける。絶対。
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◎たなは◎(プロフ) - キスマイさん» 初めましてこんばんは。最後まで読んでいただいて本当にありがとうございます。感想をいただけて嬉しく思います。この嬉しさは今後の糧になります。本作は終わってしまいましたが、よろしければ他作でもお会いできることを楽しみにしております。 (2018年6月23日 22時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - はじめまして。最後までとても楽しませて頂きました。素敵な小説ありがとうございました。 (2018年6月7日 0時) (レス) id: 64045badf0 (このIDを非表示/違反報告)
◎たなは◎(プロフ) - はなさん» お褒めのお言葉ありがとうございます。楽しんで頂けたようで何よりです。これからも精進して行きますので、お時間許す限りお付き合いくだされば嬉しいです。 (2018年4月4日 17時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - しっかりとした文章に作者さんは頭のいい方だなと思いながら読んでいました。表現や比喩の仕方もなかなかでとても楽しかったです。ありがとうございました! (2018年4月1日 2時) (レス) id: 0b253d056d (このIDを非表示/違反報告)
◎たなは◎(プロフ) - アカさん» 楽しんで頂けてとても嬉しいです。ありがとうございます。続編とまではいきませんが、番外編を後日、他作のSS缶詰の方へ掲載できればと考えておりますので今しばらくお待ちください。これからもどうぞよろしくお願いします。 (2018年3月31日 20時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:◎たなは◎ | 作成日時:2018年3月22日 1時