兄妹 ページ22
赤井の目が一段と憤怒に染まる。まずいなあ、と真純は思った。何があってこうも兄が怒ってるのかわからないが、この女性が関わっていて、そしてさっきの女性が原因だと、本人が言っていた。
「秀兄は誰かを探してるって言ってたけど、あんたがそうなのか？」
真純が追い詰められている女に聞くと、女はカラカラと楽しそうに笑った。伸びの良い、広がる軽やかな笑い声。
「私じゃないさ！ 彼が血眼になって探しているのはねぇ、彼の愛しい女とその子ども」
「子ども！？ 秀兄子持ちと」
「あはは違う違う。こいつの子どもでもあるんだ。ねえ、お嬢さんは赤井と兄妹だろ。妹だろ、その顔立ちからして。あ、まさか子ども！？」
「いい加減にしろ葉山」
「冗談だって、ジョーダン。お嬢さん、貴女にとっても案外大きな事かもしれないよ。君実はもう叔母さんになってるって、知ってる？」
「えっ、そうなのか秀兄」
舌打ちが返ってきたことでそれが肯定だとわかる。真純は持っていた荷物を取り落としそうになった。ずるりと手から抜け落ちそうになったところで咄嗟に力を入れ、買ったものを地面に広げることは逃れたが、はて、そういえば。
「ねえ、その子どもってまだ生まれてすぐくらいの、赤ん坊か？」
葉山は楽しそうに頷いた。
「僕、その人にさっき会って話したよ」
「何だって！？ 真純、その女性はどこに行ったどんな服装でどんな髪型だった何を話した何を言っていたAは元気にしていたか？子どもは一緒だったんだな！？」
今度は真純を捕まえて赤井は問い質す。気迫に圧されて真純は首をガクガク上下に振った。
「話す話す！ それより片方荷物持ってくれないかな。流石に重いんだ」
「あぁ持つさ。おい葉山どこへ行こうとしている。お前簡単に帰れると思うなよ」
「おぉ怖」
カフェに入った三人は、葉山を残して神妙な顔つきだ。それもそうである。狼の片方とを見つけた狩人と、叔母になっていると言われた若者。
「女の人は自分の事を『子連れ狼』だって。狩人に狙われているから今日のところは見逃して欲しいって言われたんだけど、彼女に僕はどの立ち位置でいるべきか聞いて見たら『家族に』って。変だよね」
「Aはさー、そういう女だからねー。まあでも、私が見つかったら答えも半分は出てるようなものだし。少し時間をくれれば、この狩猟ごっこも終わりにできるけど」
どうする？ 葉山は赤井を見てニヒルな笑を浮かべた。
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◎たなは◎(プロフ) - キスマイさん» 初めましてこんばんは。最後まで読んでいただいて本当にありがとうございます。感想をいただけて嬉しく思います。この嬉しさは今後の糧になります。本作は終わってしまいましたが、よろしければ他作でもお会いできることを楽しみにしております。 (2018年6月23日 22時) (
レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - はじめまして。最後までとても楽しませて頂きました。素敵な小説ありがとうございました。 (2018年6月7日 0時) (レス) id: 64045badf0 (このIDを非表示/違反報告)
◎たなは◎(プロフ) - はなさん» お褒めのお言葉ありがとうございます。楽しんで頂けたようで何よりです。これからも精進して行きますので、お時間許す限りお付き合いくだされば嬉しいです。 (2018年4月4日 17時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - しっかりとした文章に作者さんは頭のいい方だなと思いながら読んでいました。表現や比喩の仕方もなかなかでとても楽しかったです。ありがとうございました！ (2018年4月1日 2時) (レス) id: 0b253d056d (このIDを非表示/違反報告)
◎たなは◎(プロフ) - アカさん» 楽しんで頂けてとても嬉しいです。ありがとうございます。続編とまではいきませんが、番外編を後日、他作のSS缶詰の方へ掲載できればと考えておりますので今しばらくお待ちください。これからもどうぞよろしくお願いします。 (2018年3月31日 20時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：◎たなは◎
| 作成日時：2018年3月22日 1時
