呼出 ページ18
降谷と宮野を巻き込んだ日から数日。赤井のプライベートなスマホに連絡が入った。世良真純。赤井秀一の妹である彼女は、現在大学生。帝丹高校を卒業し、東都大学へ進学。現在はイギリスへ留学している。
そんな可愛い妹の声は留守番電話の中で少し怒り気味。
『そろそろ顔を見せに来てくれよ！ ママだってそう言ってるんだし、仕事も大変だろうけど僕たちにも会いに来てくれたっていいじゃないか！ 僕が行くと怒るくせに』
そんなことが一分近くツラツラと喋り尽くされた留守番電話を聞いて、赤井はそういえば数年真純に会っていなかったなと思い出す。最後に顔を合わせたのは彼女がまだ高校生の時だったから、少なくとも三年は顔を見せていない。メールや電話ではやりとりしていたが、赤井の職業柄あまり突発的に動けるものでもない。
しかし、真純の留守番電話に赤井は応えてやらねばならないと思っていた。理由は色々あるが、一つは組織が壊滅した事で家族をもっと大切にしなければならないと実感した事。そして、真純の「ママだって言ってる」という言葉。真純のママ。そう、赤井秀一の母親であるメアリーは一時期の子供姿から年相応…………と言っても年の割りには美しいのだが…………な姿に戻り、元々住んでいたイギリスで生活している。
彼女が怒ると、大概赤井と殴り合いになるまでの喧嘩をする。火種は大体が自分にあるのが難しいところなのだが。
顔くらいは見せておかないと、と思わせるには十分な要素である。留守電を聞いた時点で、赤井はボスへ二週間の休暇申請を出した。今まで働きづめだった事もあり、ボスは二つ返事で許可を出す。日本ではこうはいかなかっただろう、と赤井はろくに読みもしないで書類へサインするボスの手元を見下ろしながら思った。降谷君か風見君あたりはそろそろ過労で死ぬのではないか、割と赤井はヒヤヒヤしていたりする。
休暇申請を済ませ、赤井は仕事をジョディとキャメルに引き継ぎ日本を発った。
■
「赤井がそっちへ行った。…………妹の世良真純と母親のメアリーに会うらしい」
『そう落ち込まないで。ロンドンは広いし、それに私達が住んでる場所、地上じゃないから』
「だが出掛けたりするだろ」
『その時は極力変装でもするよ。葉山にも言っておく。ありがとう』
「休暇申請は二週間だ」
『二週間のかくれんぼか』
電話の向こう側で子どものきゃっきゃという軽やかな笑い声が聞こえた。
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◎たなは◎(プロフ) - キスマイさん» 初めましてこんばんは。最後まで読んでいただいて本当にありがとうございます。感想をいただけて嬉しく思います。この嬉しさは今後の糧になります。本作は終わってしまいましたが、よろしければ他作でもお会いできることを楽しみにしております。 (2018年6月23日 22時) (
レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - はじめまして。最後までとても楽しませて頂きました。素敵な小説ありがとうございました。 (2018年6月7日 0時) (レス) id: 64045badf0 (このIDを非表示/違反報告)
◎たなは◎(プロフ) - はなさん» お褒めのお言葉ありがとうございます。楽しんで頂けたようで何よりです。これからも精進して行きますので、お時間許す限りお付き合いくだされば嬉しいです。 (2018年4月4日 17時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - しっかりとした文章に作者さんは頭のいい方だなと思いながら読んでいました。表現や比喩の仕方もなかなかでとても楽しかったです。ありがとうございました！ (2018年4月1日 2時) (レス) id: 0b253d056d (このIDを非表示/違反報告)
◎たなは◎(プロフ) - アカさん» 楽しんで頂けてとても嬉しいです。ありがとうございます。続編とまではいきませんが、番外編を後日、他作のSS缶詰の方へ掲載できればと考えておりますので今しばらくお待ちください。これからもどうぞよろしくお願いします。 (2018年3月31日 20時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：◎たなは◎
| 作成日時：2018年3月22日 1時
