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報告 ページ13

赤井があれやこれやと動き回る中、突然やってきた宮野志保の姿があった。入庁許可証の名札が胸元で揺れている。慌てて来たのか、髪はやや乱れ、息も上がり、降谷と秋本が休憩室まで駆けつけると、そこにはぐったりした宮野の姿。二人は驚きに驚いた。

「何があった」
「重大なことよ、とてもね。いいこと、あの男に見られないようにしなくちゃいけないわ」

 その言葉で降谷はいつもの小会議室を確保し、秋本は一時間抜けると部下に伝えた。

会議室の椅子に対面して座った三人は、重い面持ちで顔を突き合わせる。

「いい、覚悟して。歯を食いしばった方がいいわ。準備が出来たら言って。見せるから」

秋本は深い深呼吸を、降谷は顔をしかめ唇を噛んでから、「よし」「いいですよ」と言った。宮野が持っていた端末を数回タップし、それを二人の目の前に置いてみせる。



 結果から言うと、一人は椅子から落ち、一人は椅子から立ち上がった。前者は秋本、後者は降谷である。

 端末には、一枚の写真と数行の言葉のみ。

<母子ともに無事、出産終えました。今までありがとう。そして、どうぞこれからも二人をよろしくお願いします。子どもは3288gの男の子です。>

 同じ時刻に送信された画像には、子どもを抱いた鷹守と子どもの笑顔。子どもは、確実に赤井と鷹守の血を引いていた。新緑を閉じ込めた瞳、真っ白な肌、烏の濡れ羽色の髪は赤井に似ているが、髪質が艶やかで真っ直ぐな髪の鷹守に似ている。顔立ちは赤井そっくりだが、笑い方の柔らかさが鷹守そっくり。

「良かった、無事生まれて……良かった……だめだぁ、俺もうおっさんだから涙脆いんだよこういうの、だめなんだよ」

 えぐえぐと泣き始めた秋本を傍に、降谷は写真を凝視し続けている。
宮野はその状況を見て、笑った。涙を流しながら。

 涙脆いオッサンと、涙脆いオッサン手前。会議室のテーブルに落ちた涙は、正真正銘降谷の涙であったのだから。

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◎たなは◎(プロフ) - キスマイさん» 初めましてこんばんは。最後まで読んでいただいて本当にありがとうございます。感想をいただけて嬉しく思います。この嬉しさは今後の糧になります。本作は終わってしまいましたが、よろしければ他作でもお会いできることを楽しみにしております。 (2018年6月23日 22時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - はじめまして。最後までとても楽しませて頂きました。素敵な小説ありがとうございました。 (2018年6月7日 0時) (レス) id: 64045badf0 (このIDを非表示/違反報告)
◎たなは◎(プロフ) - はなさん» お褒めのお言葉ありがとうございます。楽しんで頂けたようで何よりです。これからも精進して行きますので、お時間許す限りお付き合いくだされば嬉しいです。 (2018年4月4日 17時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - しっかりとした文章に作者さんは頭のいい方だなと思いながら読んでいました。表現や比喩の仕方もなかなかでとても楽しかったです。ありがとうございました! (2018年4月1日 2時) (レス) id: 0b253d056d (このIDを非表示/違反報告)
◎たなは◎(プロフ) - アカさん» 楽しんで頂けてとても嬉しいです。ありがとうございます。続編とまではいきませんが、番外編を後日、他作のSS缶詰の方へ掲載できればと考えておりますので今しばらくお待ちください。これからもどうぞよろしくお願いします。 (2018年3月31日 20時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:◎たなは◎ | 作成日時:2018年3月22日 1時

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