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11月10日午前8時 ページ10

部屋の確認を終えると、三守はそっとドアに近づいた。カメラに気がついたことはバレたか。足にあの痛みがもう一度来るのは御免被りたいが、免れなさそうな予感は七割方。残りの三割は…………さて。

 ドアノブに手をかける。電流も何もない。そっと力を込めれば、それは容易く身を引き、ドアは簡単に開いてしまった。
少々の拍子抜けを感じながら、三守はドアに身をすべり込ませる。


 ドアの向こうは長い廊下だった。この部屋は丁度最奥にあたる寝室。廊下の両側にドアが向けられ、部屋は廊下一本で繋がっているらしい。
寝室の正反対、入口の部分は重圧なロックがかけられていた。近づくなよ、と物語る威圧感さえある。見れば、はめ込まれた監視カメラが見え、あれに捉えられると一発で足が飛ぶほど痛めつけられると予想する。嫌な予想は当たって欲しくないが、多分あたり。

 廊下は案外長い。ひとつの部屋が広いのか、走り甲斐のある長さだ。
三守は監視カメラに監視されていることを承知で部屋の探索を始めた。どうせベッドルームから見られているのだ。許容範囲と思わせていただく。


 最奥の寝室を拠点に、時計回りで進むことにした。まずは一番左手前の部屋から。

「なんだ」

 左手前のドアはただのシャワールーム。それも大層豪盛な。
脱衣所と言えるのか不思議な空間の奥には、ガラス張りに囲まれた円形の浴槽。
そして一番驚愕したのは、外界が見えることであった。やけに明るいと思ったら、外は朝だったらしい。
 ここはマンションの上階に位置するフロアで、東都の中央部分にある地価高い、セキュリティ万全な場所だと、三守の脳内ナビが囁く。
外界の見えるガラスに飛びついて見てみるが、やはり予想範囲内。マジックミラー式。
三守は寝室と同じ要領で一通り調べ終えると、シャワールームを出た。


 左手側二番目の部屋はトイレ。チェックは同じように、ここも通過。
左側の部屋はその後、空き部屋ふたつと鍵のかかった部屋のみになり、それらも確認できることを遂行すると、寝室から向かって右側のドアに進んだ。

 寝室からすぐのドアと、廊下の中央部分にあるドアがあり、三守は寝室から一番近いドアに近寄ると、そっとそのドアを開けた。


「やあ、随分眠っていたな」


 開けて瞬間、閉めた。素晴らしく大きな音でドアが閉まったが、そんなことは気にしない。目の前に壁のようにたっていたのは、紛れもなく、姿を見せなかった赤井秀一だった。

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シルフィ - めっちゃ好きです!更新楽しみにしてます! (1月28日 17時) (レス) @page8 id: 5010c918af (このIDを非表示/違反報告)
ねねね - すごい好み! (2020年3月6日 17時) (レス) id: d3b33fa87c (このIDを非表示/違反報告)
merion(プロフ) - とっても面白いです!!更新待ってます!! (2018年3月15日 20時) (レス) id: 29c216d5d4 (このIDを非表示/違反報告)
◎たなは◎(プロフ) - 裏切りのかすてら王子さん» コメントありがとうございます。更新させていただきました。長らくお待たせして申し訳ありません。楽しんでいってくだされば嬉しいです。 (2017年7月22日 14時) (レス) id: 8b768110c2 (このIDを非表示/違反報告)
◎たなは◎(プロフ) - 茅乃さん» コメントありがとうございます。長らくお待たせしてしまい、申し訳ありません。楽しんでいただけたら幸いです。 (2017年7月22日 14時) (レス) id: 8b768110c2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:◎たなは◎ | 作成日時:2017年5月27日 15時

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