地に堕ちた天使【番外編】

アネモネ【ut.zm】（KARMY様リク） ページ18

(ゾム視点)

Aが構ってくれなくなった。
以前のように頭を撫でてくれなくなった。
なんでや…。
お願いしても申し訳なさそうに｢ごめんなさい…｣と謝られる。


Aに撫でてもらうのが好きだった。
Aが擽ったそうに笑うのが好きだった。

ゾ｢チッ…｣

シ｢な、なんや…ゾム。｣

ゾ｢…なんでもないわ。すまん。｣

すれ違ったシャオロンを驚かせてしまった。
イライラする。
捨てないで。見放さないで。
そう心の中の自分が叫んでいる。
情けない…。一人はこんなに辛かっただろうか。


ゾ｢…！大先生…｣

鬱｢ゾムさん。言うたやろ。Aちゃんにあんま近づかんといてって。｣

ゾ｢…大先生の仕業やんな。Aに構ってもらえんくなったの…。｣

煙臭い。
俺はタバコの煙が嫌いだ。それをわかって吸っている。腹立つ。
なんでお前なんや。

ゾ｢お前のようなクズがようAに選ばれたな。なんでなん？また汚い手でも使ったんか。｣

鬱｢失礼やな。今回はホンマに何もしてへんよ。｣

ゾ｢はっ。大先生の性格考えたらまた捨てるんとちゃうんか？そんなんAが可哀想や。｣


捨てられて泣くAなんか見たくない。
傷ついたAを見たくない。
A。なんで俺じゃないんや…。


鬱｢ゾムさん…Aに惚れとるん？｣

ゾ｢……せや。悪いか？
誰よりも早くあいつに出会ったんは俺や。
誰よりも早くあいつが慣れてくれたんも俺や。
なんで大先生なん！！

俺は知っとるぞ。何度も何度もAの事傷つけたん…。｣

鬱｢…せやな。その通りや。でもAちゃんは僕を選んでくれた。それだけや。｣


ふざけるな。なんでコイツなんや。
俺はAを傷つけたりしない。お前と違って。
気がつくと俺は大先生の胸ぐらを掴んでいた。

鬱｢なんや。やるんか。
今のゾムさんに負ける気はせえへんな。｣

ゾ｢あ？俺に勝てるわけないやろ。｣

なんやこの余裕は。
お前は俺より弱いやろ。
俺より弱いやつをなんで…選ぶんや。
嫌や。俺を見てくれ…。A…

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