【wrwrd】翡翠の竜【zm】

Ep.39 ページ41

(ゾム視点)

焦げ臭い匂いがする。
戦争後の特有の火薬の匂い。
それと共にまだかすかに香る嫌な甘い匂い。

ゾ｢やっぱり同じ匂いやったんやな…｣

歩く度にパキッという音がする。
棒状何かを踏みつけている。

中央に向かえば、恐ろしいほど緑色だった場所はすっかり灰色になっていた。
さらにその奥に向かえば、廃墟と化した建造物が見つかる。

ゾ｢……ここやろうな。｣

中は酷い有様だ。
本棚は崩れ、その大半は焼け焦げていた。

ゾ｢こういうのは、表やないな。｣

足で炭とかしたそれを払い除ける。
何ヶ所も。何ヶ所も。
何処や。あるんやろ。

ゾ｢…！これか。｣

床に不自然な金具を見つける。
それを引けば予想は的中。地下への通路が見つかった。
不気味な地下通路を進む。

こういう場所、好きやったはずなんやけどなぁ…。
最奥まではそう遠くなかった。
爆撃の影響でちらばった資料。

だが…欲しい情報は手に入れられた。


【AB-YZ】

毒薬。
非常に気化しやすいので取り扱いに注意する。

幻覚、幻聴を引き起こす。
見たい夢を見られる、などと謳われ大昔に大流行してしまった代物。
現在は使用、及び製造は禁止されている。

また、重篤症状として感覚麻痺、頭痛、吐き気などを引き起こす。
麻痺症状は行動にも現れ、呼吸器官に達すると最悪死に至る。

解毒薬は存在する。


ゾ｢解毒薬…。｣

解毒薬についてはこれ以上書かれていていない。
……ここは専門家に聞くべきか。
確か毒物に詳しいのはくられ先生やったな。

俺は資料を抱え国へと戻ることにした。

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