呪われた刀剣は、愛されたかったようで。【刀剣乱舞】 (ページ7)

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４７　茉莉守　語り部：二重刃格ページ7

茉莉守淤御国って名は、後から付けられたんだ。それ以前は茉莉守だった。

匂蕃茉莉って知ってるか？紫から徐々に白くなるジャスミンだ。淤御国を作った奴は、ジャスミンのこと、茉莉って、呼んでたらしいけど。

俺が生まれたのは、［茉莉守］に［淤御国］が付いた時だ。その時、既に淤御国は、［呪い］を周囲に振り撒いてしまっていた。

淤御国は良いように利用される物だった。まあ実際、物である事に変わりはないから、利用される事には何の不満も抱いてねぇ。利用の仕方には苛立ったがな。

俺は淤御国にとって要らない刃格、って、前言っただろ？それは、俺が淤御国の呪いの権化だからだ。えとつまり、俺が淤御国を苦しめてる訳だ。俺の所為で、呪いがどんどん蔓延しているんだからな。

俺の正体をもっと明確に知りたいか？なら淤御国に聞いてくれ。俺から今聞いたところで、理解出来ねぇよ多分。

…あ？何で俺の所為で呪いが蔓延しているのかって？そうだな……。

匂蕃茉莉はパーツ全体に神経毒性があり、特に未熟な果実や種などに中毒成分が多く含まれているんだ。犬や猫が間違って食べちまうと、眼振・散瞳・嘔吐・ふらつき等の症状を起こし、死に至る事もある。

って事だ。

ちゃんと言え？言っただろ。俺から言える事は限られてるって。

んじゃ、もう少しだけ話してやるよ。

淤御国の主はな、全てにおいて貪欲な奴ばかりだった。だから、淤御国の事をきちんと使ってくれる奴なんて、ほんの数人だったよ。

例えば、土方歳三、沖田総司、とかな。

そう。つまり貴方達の元主だ。最後の最後に巡り会えたんだな、淤御国は。

淤御国の最後は、本当に悲惨なものだ。ほら、第二次世界大戦、知ってるだろ？今やあの凄惨さを伝える奴なんてそうそういねぇよな。

あの時……淤御国は折られた。海外の奴だ。事情は、なんとなく想像出来るだろ？そうだ、呪いだ。

何で海外の奴に渡ったか？さあな。その時俺は、何とか戦争の終結を願えないかと、思考をそればっかに回してたからな。現存しておらず、記録にも残っていない刀剣を知る奴は、勿論居ねえ。

俺が戦争を終結させられる訳でもねぇのに、馬鹿な事に思考を回していたと、今は思うよ。

まああれだ。纏めると、彼奴は元々茉莉守って名で、淤御国は後から付けられた。俺は淤御国の呪いの権化で、淤御国の事を大切に扱ってくれる奴はほんの数人だった。んで、最後は海外の人間に折られたって訳だな。

俺から言える事は以上だ。